
タイヤ交換のやり方|手順と必要な道具を整備士が解説(ジャッキの位置・ナットの締め方)

冬の前と春に、夏タイヤとスタッドレスタイヤを履き替える。パンクに備えて、手順を一度覚えておきたい——タイヤ交換を自分でしたいという人は少なくありません。ただ、タイヤ交換は重い車を持ち上げる作業で、締め方を間違えると走っている途中でタイヤが外れるおそれもあります。ブリヂストンは、整備不良による脱輪事故が全国的に相次いでいて、最悪の場合、走行中にタイヤが外れて重大な人身事故につながる恐れがあるとしています。
この記事では、京都府亀岡市の中古車販売店・浅田自動車商会の整備士が、季節の履き替えを自宅や車庫で行う場面を例に、タイヤ交換のやり方を順番に解説します。手順と注意は、トヨタ・ホンダの取扱説明書、ブリヂストン・JAF、工具メーカーの取扱説明書にもとづいて書いています。締め付けトルクの値やジャッキをかける位置は車ごとに違うので、必ずお使いの車の取扱説明書もあわせて確かめてください。

冬タイヤへの履き替え、今年は自分でやってみたいんです。でも、ジャッキをかける場所も、ナットの締め方もよく分からなくて…。

覚えておきたいのは、ナットを緩めるのは車を上げる前、本締めは車を下ろしてからトルクレンチで、の2つだよ。この記事で順番に説明するね。

上げる前に緩めて、下ろしてから締めるんですね!
先に結論|タイヤ交換の流れ
上げる前:輪止めをかけ、車が地面に着いたまま、ナットを少し緩める(トヨタの取扱書では約1回転)
上げて外す:ジャッキでタイヤが少し浮くまで上げ、ジャッキスタンドで支えてから、ナットとタイヤを外す
付けて締める:タイヤを付けて手で仮締めし、車を下ろしてから、トルクレンチで対角の順に本締めする(締め付けトルクは車の取扱説明書の値)
仕上げ:空気圧を車の指定の値に合わせ、走ったあとに増し締めする(ブリヂストンは50〜100km走行後)

この記事の監修者

浅田 武生浅田自動車商会 整備士
京都府亀岡市の中古車販売店・浅田自動車商会で整備歴30年の整備士。メカピックでは、紹介するカー用品の選定と記事の内容を、整備の現場の視点から確認しています。
この記事でわかること
- タイヤ交換に用意する道具と、それぞれ何に使うか
- 作業の前に確かめること(場所・ジャッキをかける位置・ロックナット・締め付けトルク・回転方向)
- タイヤ交換の9つの手順と、ナットを締める対角の順番(4穴・5穴)
- やってはいけないこと、道路でパンクしたときの動き方、自分でやるかお店に頼むかの目安
タイヤ交換に用意する道具
季節の履き替えを自宅で行うなら、次の6つをそろえます。ブリヂストンも、自分でタイヤ交換するときの道具として、ジャッキ・L型レンチ(または十字レンチ)・トルクレンチ・輪止め・軍手を挙げています。道具の選び方は、それぞれの10選の記事で比べているので、ここでは「何に使うか」だけをまとめます。
| 道具 | 何に使う | 選び方の記事 |
|---|---|---|
| 油圧ジャッキ(または車載ジャッキ) | 車を持ち上げる | おすすめの油圧ジャッキ10選 |
| ジャッキスタンド | 上げた車を支える | おすすめのジャッキスタンド10選 |
| クロスレンチ | ナットを緩める・外す・仮締めする | おすすめのクロスレンチ10選 |
| トルクレンチ | ナットを決められた力で本締めする | おすすめのトルクレンチ10選 |
| 輪止め | 車が動かないようにする | — |
| タイヤ空気圧ゲージ | 空気圧を測る | おすすめのタイヤ空気圧ゲージ10選 |
| 電動インパクトレンチ | 固いナットを緩める・外す(あると楽) | おすすめの電動インパクトレンチ10選 |

ジャッキは「持ち上げる」道具。支えるのはジャッキスタンド
車に積んである車載ジャッキは、タイヤ交換とタイヤチェーンの付け外しのための道具です。トヨタの取扱書は、ジャッキをそれ以外の目的で使わないこと、他の車のジャッキを使わないことを注意しています。最近は、ジャッキやレンチ、応急用タイヤ(テンパータイヤ)を積んでいない車も増えています(JAF)。トヨタ シエンタ(ハイブリッド車)の取扱書には、輪止め・ホイールナットレンチ・ジャッキ・ジャッキハンドルは搭載されていない、と書かれています。ホンダ N-BOX の取扱説明書も、ジャッキは標準で搭載されていないとし、他のジャッキでは支えられる重さ(呼荷重)が足りなかったり、形が合わなかったりすることがあるとしています。
ジャッキは車を上げ下げする道具で、上げたまま支える道具ではありません。アストロプロダクツは、ジャッキは車を上げたまま支える目的で作られておらず、上げたあとに下がることがあるとして、リジッドラック(ジャッキスタンド)で支えるよう書いています。マサダ製作所も「ジャッキに保持機構はついておりません。リジッドラックや保持台をご使用ください。」としています。ジャッキの種類と選び方は「おすすめの油圧ジャッキ10選」、スタンドは「おすすめのジャッキスタンド10選」で比べています。
レンチは「緩める・仮締め」と「本締め」で使い分ける
ナットを緩める・外す・仮締めするのはクロスレンチ(車載のホイールナットレンチでもかまいません)、最後の本締めはトルクレンチです。ブリヂストンは、本締めは必ずトルクレンチを使い、自動車メーカーが定める規定のトルクで正確に締め付けるよう書き、トルクレンチを使わず手で締めると、締め付け不足や締め過ぎを招き、走行中にホイールが外れる「脱輪事故」につながる危険があるとしています。
電動インパクトレンチは、固いナットを緩める・外すときにあると楽な道具です。ただし本締めには使いません(「おすすめの電動インパクトレンチ10選」)。作業のときは、ブリヂストンが挙げているように軍手などで手を守りましょう。
作業の前に確かめること

ジャッキをかける場所って、車ごとに違うんですか!

そうなんだ。車の取扱説明書の図で確かめてね。締め付けトルクの値も、同じ取扱説明書に書いてあるよ。
道具をそろえたら、ジャッキを出す前に次の5つを確かめます。ここを飛ばすと、手順が正しくても車が傾いたり、ナットが外せなかったり、締め付けが足りなかったりします。
1. 平らで固い場所か|砂利・土・傾斜は避ける
ブリヂストンは、タイヤ交換で最も重要なのは安全な場所で作業することだとして、できるだけ平坦で、舗装された地面やコンクリートの上などの安定した場所で作業し、砂利や土の上は避けるよう書いています。不安定な場所では、ジャッキが外れることがあるからです。ホンダも「地面が固く、滑らない、水平なところに車を停める」としています。タイヤを外したり付けたりするので、車の横に余裕のある作業スペースも要ります(ブリヂストン)。
2. ジャッキをかける位置(ジャッキアップポイント)は、車の取扱説明書で
ジャッキは、車ごとに決められたジャッキアップポイントにかけます。ブリヂストンによると、ジャッキアップポイントはボディの縁(フチ)にあり、凹みや三角の印があるのが目印です。ホンダは、交換するタイヤにもっとも近いジャッキポイントの下にジャッキを置くよう案内しています。
油圧ジャッキ(ガレージジャッキ)で上げる位置は、車載ジャッキの位置と違うことがあります。トヨタ シエンタの取扱書は、ガレージジャッキをかける位置を前と後ろに分けて図で示し、後ろは FF車と4WD車で位置が違います。どちらのジャッキでも、位置は車の取扱説明書で確かめるのが基本です。ジャッキスタンドを当てる場所も、車の取扱説明書や整備書で確かめます(大橋産業・アストロプロダクツ)。

3. ロックナットが付いているか|専用アダプターを用意する
盗難防止のロックナットが付いている車は、そのナットだけ、付属の専用アダプターが無いと回せません。作業を始める前に、アダプターがどこにあるかを確かめておきます。TRD の「GRセキュリティーロックナットセット」の取付・取扱要領書は、締め付けのときは必ず付属の専用アダプターを使い、最初は手で締め付けてから、トルクレンチなどで規定トルクで確実に締め付けるよう警告し、締め付け・取り外しにインパクトレンチなどは絶対に使わないよう書いています。ナットだけでなく、ホイールやボルトを傷めることがあるからです。お使いのロックナットの説明書も確かめてください。
4. 締め付けトルクの値を、車の取扱説明書で確かめる
ナットを締める力(締め付けトルク)は、車ごとに決まっています。たとえば、トヨタ シエンタ(ハイブリッド車)の取扱書は103N・m(1050kgf・cm)、ホンダの公式Q&Aは N-BOX を108N・m(中央値)としています。この値は例で、ほかの車には当てはまりません。自分の車の取扱説明書で値を確かめ、その値が測れる範囲のトルクレンチを用意します(「おすすめのトルクレンチ10選」)。
5. 付けるタイヤの回転方向・向きの指定と、傷み
タイヤには、回る向きや、内側・外側の向きが決まっているものがあります。ブリヂストンによると、回転方向に指定があるタイヤは側面に回転の向きを示す矢印と「ROTATION」の文字が、外側・内側の指定があるタイヤは「OUTSIDE」や「INSIDE」の文字が刻まれています。指定がある場合は、その指定どおりに付けます。
付けるタイヤに、亀裂やひび・偏った減り方が無いかも見ておきます。残り溝が1.6mmになると出る「スリップサイン」が見えるタイヤは、使えません(ブリヂストン)。長く保管していたタイヤは、ゴムの劣化にも注意が必要です。スタッドレスタイヤの製造年の見方は「スタッドレスタイヤの選び方と銘柄の比較」で、どの種類のタイヤに履き替えるかは「夏タイヤ・オールシーズンタイヤ・スタッドレス、どれを選ぶ?違いと選び方を整備士が解説」で解説しています。
タイヤ交換の手順|9つのステップ
ここからは、季節の履き替えを自宅や車庫で行う場面の手順です。トヨタ・ホンダの取扱説明書、ブリヂストン・JAF の案内に共通する流れを、9つのステップにまとめました。1本ずつ交換し、4本とも同じ手順をくり返します。

1. 輪止めをかける|交換するタイヤの対角に
シフトを P(MT車は1速)に入れ、パーキングブレーキをしっかりかけます(トヨタ・ブリヂストン)。人や荷物は車から降ろします。トヨタは車内に人を乗せたまま車を持ち上げないよう、ホンダはジャッキで上げる車に人や荷物を乗せないよう注意しています。
次に、交換するタイヤの対角線上にあるタイヤに輪止めをかけます。ブリヂストンの例では、右前のタイヤを交換するなら、左後ろのタイヤに輪止めをかけます。ホンダは、対角線上のタイヤの前後に輪止めをするよう書いています。
2. 地面に着いたままナットを少し緩める|約1回転が目安

ナットは、車を上げてから緩めるんじゃないんですか?

上げる前に、地面に着いたまま少しだけ緩めるよ。トヨタの取扱書では約1回転。外すのは、上げてからだよ。
車がまだ地面に着いている状態で、すべてのナットを少しだけ緩めます。トヨタの取扱書は「ナットを少し(約1回転)ゆるめる」、JAF は「ホイールナットを少しだけ緩めます」としています。レンチを反時計回りに回し、軽く緩める程度でかまいません(ブリヂストン)。ここでは外しません。
スチールホイールでホイールキャップが付いているときは、先にキャップを外します。クロスレンチの持ち方と注意は「おすすめのクロスレンチ10選」で解説しています。
3. ジャッキでタイヤが少し浮くまで上げる
ジャッキアップポイントにジャッキを当て、ジャッキの先の溝を車体の縁に合わせます。ブリヂストンは、溝が合っていないとジャッキアップポイント自体が曲がってしまうことがあるとしています。ジャッキの上や下に、物を入れたりはしません(ホンダ)。
上げるのは、タイヤが路面から少し浮くまでです。ブリヂストンは、あまり高く上げる必要はなく、高く上げ過ぎると車体が不安定になり大変危険だとしています。トヨタの取扱書も、タイヤ交換できる高さ以上に上げないよう注意しています。油圧ジャッキの上げ方・下ろし方は「おすすめの油圧ジャッキ10選」で解説しています。
4. ジャッキスタンドで支える
ジャッキで上げたら、ジャッキスタンドで車を支えてから次に進みます。トヨタの取扱書は、ジャッキで支えられている車の下に体を入れないこと、車の下にもぐり込んで作業する場合はジャッキスタンドを使うことを書いています。先に書いたとおり、油圧ジャッキのメーカーも、ジャッキは上げたまま支える道具ではないとしています。
スタンドは、車の取扱説明書や整備書で確かめた、支えてよい場所に当てます。スタンドの高さの合わせ方、載せたあとの確かめ方、外し方は「おすすめのジャッキスタンド10選」で解説しています。
5. ナットを外してタイヤを外す|外したタイヤは車の下へ
緩めてあったナットをすべて外し、タイヤを外します。ブリヂストンは、順番に決まりは無いが、いちばん上のナットを最後に外すと、途中でタイヤが手前に倒れてくるのを防げるとしています。タイヤとホイールは重いので、手でしっかり押さえながら地面に下ろします。
外したタイヤとホイールは、車体の下に入れておきます。ブリヂストンは、万一ジャッキが外れたときに、車体が落ちてしまうのを防げるとしています。アストロプロダクツの取扱説明書も、ホイール付きのタイヤなど厚みのある固い物を車の下に置くよう書いています。
6. タイヤを付けて手で仮締めする|がたつかなくなるまで
付けるタイヤをはめる前に、ホイールの接触面の汚れをふき取ります。トヨタの取扱書は、接触面が汚れていると、走行中にナットがゆるみ、タイヤが外れるおそれがあるとしています。ホイールとナットの座面の形が合っているかも確かめます(ブリヂストン)。ナットは、そのホイールに合った専用のものを使います(トヨタ)。
タイヤを曲がらないよう奥まではめたら、ナットを時計回りに手で回して入れます。ブリヂストンは、最初にいちばん上のナットを入れると、タイヤが手前に倒れてくるのを防げるとしています。すべて入れたら、レンチで、ホイールががたつかなくなるまで締めます。1か所をいきなり締めず、2〜3回に分けて、次のステップと同じ対角の順で締めます(ブリヂストン・JAF)。
7. 下ろしてトルクレンチで対角の順に本締め
ジャッキをゆっくり下ろし、タイヤを地面に着けます。ジャッキスタンドで支えていたときは、もう一度ジャッキで少し上げてからスタンドを抜き、それから下ろします(「おすすめのジャッキスタンド10選」)。車体が完全に下りて力がかからなくなったら、ジャッキを外します(ブリヂストン)。JAF も、車体を下ろし、ジャッキを外してから本締めするとしています。
本締めは、トルクレンチで、車の取扱説明書の規定のトルクに合わせて締めます。仮締めのときと同じように、2〜3回に分けて、対角線の順で均等に締めます(ブリヂストン)。トヨタの取扱書も、図の番号の順に2、3度しっかり締めるとしています。ブリヂストンは、時計回りなど順番に横へ移っていくのではなく、できるだけ対角線の順で行うと確実に締められるとしています。
つまり、となりではなく、向かい側へ順に締めるのが基本です。4穴のホイールなら、真向かいのナットへ交互に、上→下→右→左のように締めます。5穴のホイールには真向かいのナットが無いので、となりを1つ飛ばした向かい側へ進み、いちばん上→右下→左上→右上→左下の順に締めます(線で結ぶと星の形になります)。2〜3回に分けて、最後はトルクレンチで規定トルクまで締めたら、最後に輪止めを外します(ブリヂストン)。

8. 空気圧を合わせる|冷えているときに測る
交換が済んだら、空気圧が車の指定の値になっているかを確かめます。ブリヂストンは、保管していたタイヤや新品のタイヤは、自然に空気が抜けていたり、空気の入れ方が足りなかったりすることがあるとしています。指定の空気圧は、一般的に運転席のドアの開口部に書かれていて、無ければ取扱説明書で確かめます(JAF)。高速道路を長く走った直後など、タイヤが温まっていると空気圧が高めに出ることがあるので(JAF)、走る前の冷えたときに測ります(ブリヂストン)。測り方は「おすすめのタイヤ空気圧ゲージ10選」、空気の入れ方は「おすすめの電動空気入れ10選」で解説しています。
そのあと試しに走り、振動や異音が無いかを確かめます。いきなりスピードを出したり、カーブを勢いよく曲がったりするのは避けます(ブリヂストン)。
9. 走ったあとに増し締めする|50〜100km走ったら
タイヤを付けてしばらく走ると、部品がなじんで、最初の緩みが出ることがあります(ブリヂストン)。ブリヂストンは、ホイールを取り付けて50〜100km走行後に、ホイールナットを規定トルクで増し締めするよう案内しています(別のページでは、約100km走った段階でトルクレンチで点検するよう書いています)。ロックナットなど、部品の説明書に別の指定があるときは、そちらに従います。たとえば TRD の GRセキュリティーロックナットセットは、40km程度走ったあとに規定トルクでの締め付けを確かめるよう書いています。
トヨタの取扱書は、タイヤ交換のあとは速やかに締め付けトルクを確かめ、自分で確かめられない場合は販売店で点検を受けるよう書いています。
道路でパンクしたときは、まず安全な場所へ
ここまでの手順は、自宅や車庫での作業です。道路でパンクしたときは、その場でタイヤ交換を始めないことが先です。JAF は、パンクに気づいたら、まず周りの安全を確かめ、ほかの車の邪魔にならない場所に止めるよう案内しています。
高速道路では、ハザードランプをつけて路肩に寄せ(路肩が狭い橋やトンネルでは、できるだけ広い場所まで走る)、同乗者を避難させ、停止表示器材を車の後ろに置き、ガードレールの外側などに避難してから、非常電話か携帯電話で救援を頼みます。JAF は「決してご自身で作業せずJAFの到着をお待ちください。」としています。停止表示器材の置き方は「おすすめの三角表示板・停止表示灯10選」で解説しています。
一般道でも、JAF は、工具や応急用タイヤが無い場合や、自動車整備に慣れていなくて自信が無い場合は、無理をせず JAF に任せるよう書いています。応急用タイヤの代わりにパンク修理キットを積んでいる車もあるので、使い方は「おすすめのパンク修理キット10選」で確かめておきましょう。応急用タイヤ(テンパータイヤ)に替えたときは、応急用なので、パンクしたタイヤを速やかに修理します(JAF)。
走ったすぐあとのホイールと、下ろす前のひと声
走った直後は、ホイールやブレーキのまわりが熱くなっていて、触るとやけどのおそれがあるよ(トヨタの取扱書)。パンクして止まったときや、走ってきてすぐ作業するときは気をつけてね。
車を下ろす前は、まわりに人がいないかを確かめて、人がいたら声をかけてから下ろそう(トヨタの取扱書)。家族に手伝ってもらうときほど、ひと声が大事だよ。

タイヤ交換でやってはいけないこと

ナットは、力いっぱい締めておけば安心だと思っていました…!
締め過ぎも、締め足りないのも事故のもとです。ホンダは、ホイールナットは思いきり締めればいいのではなく、必要なトルクで締めればよいとし、締め過ぎるとねじによけいな負担がかかり、アルミホイールではナットを受ける面がつぶれてナットが食い込むことがあるとしています。そのほか、取扱説明書やメーカーの案内で禁止されていることを6つにまとめます。

- ジャッキだけで支えた車の下に体を入れない トヨタの取扱書は、ジャッキで支えられている車の下に体を入れないよう、ホンダの取扱説明書も、車がジャッキだけで支えられているときは車の下に入らないよう警告しています。ジャッキが外れると、大けがにつながります。
- 人を乗せたまま上げない・エンジンをかけない トヨタの取扱書は、車内に人を乗せたまま持ち上げないこと、ジャッキで支えている状態で、ハイブリッドシステム(エンジン)をかけたり車を走らせたりしないことを注意しています。ホンダも、エンジンをかけたままにしない、ジャッキを使っている間は車内に入らないよう書いています。
- ジャッキポイント以外にかけない ジャッキは、決められたジャッキセット位置に正しくかけます(トヨタ)。ホンダもジャッキポイント以外にかけないよう書いています。他の車のジャッキも使いません(トヨタ)。
- 必要以上に高く上げない タイヤ交換できる高さ以上には上げません(トヨタ)。高く上げ過ぎると車体が不安定になります(ブリヂストン)。
- ねじ部にオイルやグリースを塗らない トヨタの取扱書は、ねじ部にオイルやグリースを付けると必要以上に締まり、ボルトの破損やホイールの損傷につながるおそれがあるとして、付いていたらふき取るよう書いています。
- 本締めをインパクトレンチや手の感覚で済ませない 本締めはトルクレンチで、規定のトルクで締めます(ブリヂストン)。ブリヂストンは、インパクトレンチで締める場合は、締め過ぎないよう十分注意し、トルクレンチでの確認などを併用するよう書いています。ロックナットは、インパクトレンチを使えないものもあります(TRD)。クロスレンチにパイプを継ぎ足したり、レンチに乗ったりするのも、工具メーカーが禁止しています(「おすすめのクロスレンチ10選」)。
自分でやるか、お店に頼むか|判断の目安
タイヤ交換は、場所と道具と手順がそろえば自分でもできます。ただ、ブリヂストンは、安全な作業場所を確保できない場合や、少しでも自分でのタイヤ交換に不安を感じる場合は、無理をせずタイヤ専門店に頼むよう勧めています。トヨタの取扱書も、自分でのタイヤ交換に不安がある場合は販売店に相談するよう書いています。次の4つが全部「はい」なら自分で、1つでも「いいえ」ならお店に頼むのが目安です。
- 場所:平らで固く、タイヤを外したり付けたりできる広さの場所がある(砂利・土・傾斜ではない)
- 道具:ジャッキ・ジャッキスタンド・クロスレンチ・トルクレンチ・輪止め・タイヤ空気圧ゲージがそろう(車載工具が無い車もある)
- 締め付け:車の取扱説明書で締め付けトルクを確かめ、トルクレンチで締められる。ロックナットの専用アダプターもある
- 手順:この記事の9つのステップと、やってはいけないことを理解して、あわてずに作業できる
トルクレンチが無いまま交換した場合について、JAF は、できるだけ早くガソリンスタンドや修理工場などで規定のトルクで本締めしてもらうよう書いています。
自分でやると決めたら、道具は次の10選から選べます。季節の履き替えで、どの種類のタイヤにするか迷っているなら、「夏タイヤ・オールシーズンタイヤ・スタッドレス、どれを選ぶ?違いと選び方を整備士が解説」を先に読んでください。
- 車を上げる道具がまだ無いなら
油圧ジャッキを選ぶ油圧ジャッキ10選へ - 上げた車を支える道具がまだ無いなら
ジャッキスタンドを選ぶジャッキスタンド10選へ - 車載のレンチが無い・ナットが回しにくいなら
クロスレンチを選ぶクロスレンチ10選へ - 規定のトルクで本締めしたいなら
トルクレンチを選ぶトルクレンチ10選へ - 固いナットを楽に緩めたいなら
電動インパクトレンチを選ぶ電動インパクトレンチ10選へ - 交換したあとの空気圧を測りたいなら
タイヤ空気圧ゲージを選ぶタイヤ空気圧ゲージ10選へ
安全にかかわる4つの道具は、それぞれの10選から「整備士が選ぶ3台」を紹介します。ジャッキの種類やトルクレンチの測れる範囲が自分の車に合うかを、買う前に確かめてください。
油圧ジャッキ|整備士が選ぶ3台
楽天市場の価格は11月6日時点の販売価格(出品が複数あるときはいちばん安いもの)、Amazonの価格は価格の下に書いた日時の時点の価格※です。
ジャッキスタンド|整備士が選ぶ3台
楽天市場の価格は11月5日時点の販売価格(出品が複数あるときはいちばん安いもの)、Amazonの価格は価格の下に書いた日時の時点の価格※です。
クロスレンチ|整備士が選ぶ3台
楽天市場の価格は11月5日時点の販売価格(出品が複数あるときはいちばん安いもの)、Amazonの価格は価格の下に書いた日時の時点の価格※です。
トルクレンチ|整備士が選ぶ3台
楽天市場の価格は11月6日時点の販売価格(出品が複数あるときはいちばん安いもの)、Amazonの価格は価格の下に書いた日時の時点の価格※です。
タイヤ交換に関するよくある質問
- 車載ジャッキだけで、タイヤ交換をしてもいいですか?
-
車載ジャッキは、タイヤ交換とタイヤチェーンの付け外しのための道具で、その範囲で使えます(トヨタ)。ただし、ジャッキで支えられている車の下に体を入れてはいけません。トヨタの取扱書は、車の下にもぐり込んで作業する場合はジャッキスタンドを使うとしています。自宅で季節の履き替えをするなら、ジャッキスタンドで支えてから作業すると安心です。車載ジャッキを積んでいない車もあるので、まず自分の車に積んであるかを確かめてください。
- ナットは、どのくらい緩めておけばいいですか?
-
車を上げる前に、少しだけ緩めます。トヨタの取扱書は「ナットを少し(約1回転)ゆるめる」、JAF は「ホイールナットを少しだけ緩めます」としています。ここでは外さず、車を上げてから外します。
- 締め付けトルクの値は、どこで分かりますか?
-
車の取扱説明書に書かれています。たとえばトヨタ シエンタ(ハイブリッド車)の取扱書は103N・m、ホンダの公式Q&Aは N-BOX を108N・m(中央値)としていますが、車ごとに違うので、必ず自分の車の取扱説明書で確かめてください。
- トルクレンチが無いときは、どうすればいいですか?
-
JAF は、トルクレンチが無い場合は、できるだけ早くガソリンスタンドや修理工場などで規定のトルクで本締めしてもらうよう書いています。ブリヂストンは、本締めは必ずトルクレンチで行うよう書いているので、自分で交換するならトルクレンチも用意しましょう(「おすすめのトルクレンチ10選」)。
- 増し締めは、いつすればいいですか?
-
ブリヂストンは、ホイールを取り付けて50〜100km走行後に、ホイールナットを規定トルクで増し締めするよう案内しています。走ることで部品がなじみ、最初の緩みが出ることがあるためです。ロックナットなど部品の説明書に別の指定があれば、そちらに従ってください(TRD の GRセキュリティーロックナットセットは40km程度)。
- インパクトレンチで本締めしてもいいですか?
-
本締めはトルクレンチで行います。ブリヂストンは、インパクトレンチで締める場合は、締め過ぎないよう十分注意し、トルクレンチでの確認などを併用するよう書いています。ロックナットには、締め付け・取り外しにインパクトレンチを使えないもの(TRD の GRセキュリティーロックナットセット)もあります。インパクトレンチは、固いナットを緩める・外すときに使う道具と考えてください(「おすすめの電動インパクトレンチ10選」)。
- タイヤの側面の矢印や「OUTSIDE」の文字は何ですか?
-
付ける向きの指定です。ブリヂストンによると、回転方向に指定があるタイヤには回る向きを示す矢印と「ROTATION」の文字が、外側・内側の指定があるタイヤには「OUTSIDE」や「INSIDE」の文字が側面に刻まれています。指定があるタイヤは、その指定どおりに付けてください。
- 高速道路でパンクしたら、自分でタイヤを交換してもいいですか?
-
しないでください。JAF は、高速道路で故障したときは、ハザードランプをつけて路肩に寄せ、停止表示器材を車の後ろに置き、ガードレールの外側などに避難して救援を頼み、自分では作業せずに JAF の到着を待つよう案内しています。停止表示器材は「おすすめの三角表示板・停止表示灯10選」で紹介しています。
まとめ|緩めるのは上げる前、本締めは下ろしてからトルクレンチで

輪止めをして、上げる前に少し緩めて、スタンドで支えて、下ろしてからトルクレンチで対角に。走ったあとの増し締めも忘れません!
タイヤ交換のやり方は、輪止めをかけ、地面に着いたままナットを少し緩め、ジャッキで少し浮くまで上げてスタンドで支え、タイヤを付け替えて手で仮締めし、下ろしてからトルクレンチで対角の順に本締めするのが基本です。ジャッキをかける位置と締め付けトルクの値は車ごとに違うので、車の取扱説明書で確かめます。交換したら空気圧を合わせ、50〜100km走ったら増し締めします(ブリヂストン)。
場所や道具がそろわない、手順に不安があるときは、無理をせずお店に頼みましょう。道路でパンクしたときは、まず安全な場所に止め、高速道路では自分で作業せずに救援を待ちます。

- 作業の前:平らで固い場所・ジャッキアップポイント・ロックナットのアダプター・締め付けトルクの値・タイヤの向き
- 上げる前:輪止めは交換するタイヤの対角。ナットは地面に着いたまま少し緩める(約1回転)
- 上げたら:タイヤが少し浮くまで。ジャッキスタンドで支え、外したタイヤは車の下へ
- 締める:手で仮締め → 下ろしてからトルクレンチで、対角の順に2〜3回に分けて本締め
- 仕上げ:空気圧を合わせ、50〜100km走ったら増し締め
道具は、「おすすめの油圧ジャッキ10選」・「おすすめのジャッキスタンド10選」・「おすすめのクロスレンチ10選」・「おすすめのトルクレンチ10選」・「おすすめのタイヤ空気圧ゲージ10選」で選べます。固いナットに困っているなら「おすすめの電動インパクトレンチ10選」も参考にしてください。履き替えるタイヤ選びは「夏タイヤ・オールシーズンタイヤ・スタッドレス、どれを選ぶ?違いと選び方を整備士が解説」・「スタッドレスタイヤの選び方と銘柄の比較」・「おすすめのオールシーズンタイヤ10選」で解説しています。
スタッドレスタイヤそのものを選ぶなら「おすすめのスタッドレスタイヤ10選」、外したタイヤのしまい方は「おすすめのタイヤラック・タイヤ収納カバー10選」で紹介しています。
※本記事の内容は2026年10月29日時点の、トヨタ・ホンダの取扱説明書と公式Q&A、ブリヂストン・JAF の公式情報、工具メーカー(アストロプロダクツ・マサダ製作所・大橋産業)と TRD の取扱説明書・公式ページにもとづいています。締め付けトルクの値、ジャッキをかける位置、作業の手順は車や部品ごとに違うため、必ずお使いの車と道具の取扱説明書を確かめてください。
※メカピックスコアは、メーカー公式の仕様を、用品ごとに整備士が決めた基準で点数にしたものです(実機のテストではありません)。基準は用品ごとに違うので、ちがう用品どうしの点数は比べられません。くわしい基準は各10選の記事で説明しています。
※Amazon の価格および在庫状況は表示された日付/時刻の時点のものであり、変更される場合があります。本商品の購入においては、購入の時点で Amazon.co.jp に表示されている価格および在庫状況に関する情報が適用されます。
