
自動車屋の現役整備士が選ぶ!おすすめの油圧ジャッキ10選

スタッドレスタイヤへの履き替えの季節。「自分でタイヤ交換をしたいけれど、車に積んであるジャッキは回すのが大変」と感じている人も多いのではないでしょうか。そこで候補になるのが、レバーを上下に動かすだけで車を持ち上げられる「油圧ジャッキ」です。
でも、油圧ジャッキは車の重さや車高に合わないと、車の下に入らなかったり、タイヤが浮くところまで上がらなかったりします。そして何より、使い方を間違えると大きな事故につながる道具でもあります。
この記事では、京都府亀岡市の中古車販売店・浅田自動車商会の整備士が、油圧ジャッキの種類と、自分の車に合うものの選び方、性格の違うおすすめの油圧ジャッキ10選をご紹介します。ジャッキスタンドを使った安全な上げ方・下ろし方もあわせて解説します。

この記事の監修者

浅田 武生浅田自動車商会 整備士
京都府亀岡市の中古車販売店・浅田自動車商会で整備歴30年の整備士。メカピックでは、紹介するカー用品の選定と記事の内容を、整備の現場の視点から確認しています。
この記事でわかること
- フロアジャッキ・ボトルジャッキの違いと、車載のパンタグラフジャッキとの違い
- 最大能力・最低位・最高位から見る、自分の車に合う油圧ジャッキの選び方
- 性格の違うおすすめの油圧ジャッキ10選と比較表
- ジャッキスタンドを使った、安全な上げ方・下ろし方の手順
油圧ジャッキとは?種類と車載ジャッキとの違い
油圧ジャッキは「持ち上げる」道具。支えるのはジャッキスタンド
油圧ジャッキは、ハンドル(レバー)を上下に動かして油の圧力で車を持ち上げる道具です。ハンドルを回し続けるネジ式のジャッキより、少ない力で、すばやく車を上げられます。
ただし、この記事で紹介するどのメーカーも、油圧ジャッキは車を上げ下げするための道具で、持ち上げた状態を保つためのものではないとしています。大橋産業(BAL)の取扱説明書は、自動車をジャッキスタンドで保持させるために、ジャッキアップまたはジャッキダウンする目的で使うジャッキだと説明しています。持ち上げたあとは、必ずジャッキスタンド(リジッドラック、通称「ウマ」)で車を支えます。
油圧ジャッキは大きく2つのタイプ

フロアジャッキ(ガレージジャッキ)は、車輪の付いた本体を車の下に差し込み、長いハンドルを上下に動かしてアームを持ち上げるタイプです。車体が低い位置からでも上げやすく、タイヤ交換によく使われます。アームが上がるにつれて本体が前に進む作りなので、車輪がスムーズに動く固い場所で使います(BAL・メルテック・エマーソンの取扱説明書)。
ボトルジャッキ(だるまジャッキ)は、筒の形をした本体のピストンが真上に伸びるタイプです。小さく軽いので持ち運びやすい一方、いちばん縮めた高さがフロアジャッキより高く(この記事のエマーソン EM-512は181mm)、車の下にそれだけのすき間が必要です。
車載のパンタグラフジャッキとの違い
多くの車に積まれているのは、ハンドルを回してネジで上げる「パンタグラフジャッキ」です。その車の重さとジャッキポイントの形に合わせて用意されたもので、トヨタの取扱書は、ジャッキをタイヤ交換・タイヤチェーンの取り付け・取りはずし以外に使わないこと、ほかの車のジャッキを使わないことを案内しています。
最近は、ジャッキを積んでいない車も増えています。トヨタのシエンタ(ハイブリッド車)はタイヤパンク応急修理キットが標準装着でジャッキは搭載されておらず、ホンダのN-BOXも、ジャッキが標準で搭載されていないとしています。年に2回、冬タイヤとの履き替えを自分でするなら、油圧ジャッキとジャッキスタンドをそろえておくと作業が楽になります。
整備士が教える油圧ジャッキの選び方 5つのポイント
1. 車の重さに合った最大能力(トン数)を選ぶ
油圧ジャッキには「2t」「2.5t」「3t」などの最大能力が書かれています。エマーソンは、車検証に書かれている車両重量を確認し、それに対して十分な耐荷重のジャッキを選ぶよう案内しています。なお、エマーソンが注記しているとおり、この数字はジャッキが持ち上げられる重さで、車両重量のことではありません。
どの商品も、最大能力を超える重さをかけないよう注意しています。アストロプロダクツのポータブルフロアジャッキのように、軽自動車専用とされている商品もあるので、対象の車も確かめましょう。
2. 最低位:車の下に入るか(ローダウン車・エアロ装着車)

「最低位」は、ジャッキをいちばん下げたときの受け皿(サドル)の高さです。これが車の下のすき間より高いと、ジャッキが車の下に入りません。ローダウン車やエアロパーツを付けた車は、最低位が85mm前後の「低床(ローダウン対応)」タイプを選びましょう。この記事の10商品では、エマーソン EM-511Cの80mmがいちばん低い最低位です。
また、フロアジャッキは本体の後ろ側が車体に当たると、ハンドルを上下に動かせなくなります。BALの取扱説明書は、ジャッキが入らないときやジャッキポイントが奥にあるときは、別売のタイヤスロープ(車を約70mm持ち上げる台)を使うよう案内しています。
3. 最高位:タイヤが浮く高さまで上がるか(SUV・ミニバン)
「最高位」は、ジャッキをいちばん上げたときの高さです。車高の高いSUVやミニバンは、最高位が足りないとタイヤが地面から浮きません。BALとエマーソンは、車載のジャッキで実際にタイヤが浮くまで上げて、必要な高さを測ってから選ぶよう案内しています。
タイヤ交換では、タイヤが浮くだけでなく、ジャッキスタンドを差し込める高さまで上げる必要があります。この記事の10商品では、BALのハイリフトジャッキ(最高位530mm)が、いちばん高くまで上がります。
4. 重さと、置き場所・持ち運び
油圧ジャッキは、大きく上がるもの・能力の大きいものほど重くなります。この記事の10商品では、ボトルジャッキのエマーソン EM-512が2.4kg、軽自動車専用のアストロプロダクツのポータブルフロアジャッキが8.7kgなのに対し、最高位430mmまで上がるストレートの低床タイプ 2.0tは22kg、3tのメルテック MP-30Tは約26kgあります。
「車に積んでおきたい」「物置から運ぶ」なら、軽さと収納ケースの有無を見ましょう。BAL 2102には収納ケース、エマーソン EM-512にはケースが付いています。重いジャッキを軽くしたいなら、アルミ製(アストロプロダクツ GJ139は19kg)や、アルミとスチールを組み合わせたもの(メルテック MP-30T)があります。
5. スローダウン機構と、上げやすさ
車を下ろすときは、リリースバルブをゆっくり緩めて下げます。スローダウン機構は、バルブを緩めたときに車がゆっくり下がるようにする仕組みで、この記事ではBALとメルテックの4商品が公式に搭載をうたっています。機構の有無にかかわらず、エマーソンの取扱説明書は、リリースバルブを早く回すと車が急激に下がり大変危険だとして、ゆっくり回すよう注意しています。
上げやすさでは、ハンドルの長さ(メルテック FD-1は約740mm)、ポンプのピストンが2つある「ダブルピストン」「スピードリフト」(アストロプロダクツ GJ139・メルテック MP-30T)などの工夫があります。
この記事の10選の選定基準
- メーカー公式で確認できる
最大能力・最低位・最高位・重さが、メーカーの公式サイト・公式通販・公式の取扱説明書やカタログで確認できること(書かれていない項目は「公式に記載なし」と明記) - 乗用車のジャッキアップに使える油圧ジャッキ
乗用車のタイヤ交換などに使える油圧式のフロアジャッキ・ボトルジャッキであること。車載のパンタグラフジャッキ、エアー式やプロの整備工場向けの大型品は対象外 - 性格の違う10本にする
「軽自動車専用の小型」「ローダウン車向けの低床」「収納ケース付き」「小さく軽いボトルジャッキ」「アルミ製」「3tの大きな能力」「低床で高くまで上がるガレージタイプ」「SUV向けの高い最高位」と、使う人と車に合わせて性格の違う10本にすること。同じメーカーは2本までにする
おすすめの油圧ジャッキ10選
10商品を比較表でチェック
| 商品名 | ポータブル 2.0TON | 低床ミニ 2t | 2102 | FD-1 | EM-512 | GJ139 | MP-30T | EM-511C | 低床 2.0t | 2104 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| タイプ | フロアジャッキ(軽自動車専用) | フロアジャッキ(低床・小型) | フロアジャッキ(ローダウン車対応) | フロアジャッキ | ボトルジャッキ | ガレージジャッキ(アルミ製) | ガレージジャッキ(アルミ+スチール) | フロアジャッキ(ローダウン車向け) | ガレージジャッキ(低床) | フロアジャッキ(ハイリフト) |
| 最大能力 | 2t | 2.0t | 2.0t | 2.5t | 2.0t | 2.0t | 3t | 2.0t | 2.0t | 2.8t |
| 最低位〜最高位 | 約130〜320mm(ゴムパッド込み約150〜345mm) | 85〜380mm(付属パッド装着時は各+30mm) | 85〜370mm | 約85〜380mm | 最低位181〜229mm/最高位297〜345mm(アジャスターで調整) | 約85〜465mm | 約100〜465mm | 80〜380mm | 85〜430mm | 150〜530mm |
| 本体の重さ | 8.7kg | 12kg | 11.8kg | 約11.4kg | 2.4kg | 19kg(ハンドル含む) | 約26kg | 12.0kg | 22kg | 21.5kg |
| スローダウン機構 | 公式に記載なし | 公式に記載なし | あり | あり | 公式に記載なし | 公式に記載なし | あり | 公式に記載なし | 公式に記載なし | あり |
| 収納ケース | 公式に記載なし(取っ手付き) | 公式に記載なし | 収納ケース付き | 公式に記載なし | ケース入り | なし(キャリーバッグは別売) | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし |
| 実売価格(税込)楽天市場 | 6,534円~10,604円(税込)10月22日時点 | 9,441円(税込)10月22日時点 | 10,180円~15,266円(税込)10月22日時点 | 14,450円~24,910円(税込)10月23日時点 | 4,754円~4,954円(税込)10月23日時点 | 27,390円~62,675円(税込)10月23日時点 | 39,480円~70,430円(税込)10月23日時点 | 14,750円~15,200円(税込)10月23日時点 | 17,680円(税込)10月23日時点 | 11,900円~22,740円(税込)10月23日時点 |
| 向いている人 | 軽自動車のタイヤ交換を手頃に始めたい人 | 手頃な低床ジャッキがほしい人 | ローダウン車でケースにしまいたい人 | 少ない力で上げたい人 | 小さく軽いものを車に積みたい人 | 軽いアルミ製で速く上げたい人 | 3tの能力で大きめの車にも使いたい人 | ローダウン車で最低位の低さを重視する人 | 低床で高くまで上げたい人 | SUV・ミニバンに使いたい人 |
| 購入する | Amazon楽天市場 | Amazon楽天市場 | Amazon楽天市場 | Amazon楽天市場 | Amazon楽天市場 | Amazon楽天市場 | Amazon楽天市場 | Amazon楽天市場 | Amazon楽天市場 | Amazon楽天市場 |
※実売価格は、楽天市場で販売中の商品の税込価格を毎日自動で集めて、最安~最高を表示しています(表示の日付時点。送料・ポイントは含みません)。楽天市場で価格を確認できない商品は、メーカー公式の価格を記載しています。Amazonの価格は各商品のボタンからご確認ください。メルテック(大自工業)とエマーソン(ニューレイトン)の4商品は、公式サイトに価格の記載がありません。ストレートの2商品の価格は、公式通販で「割引」「特価」と表示された価格です(2026年10月時点)。最大能力・最低位・最高位・重さは各メーカーの公式の表記で、アストロプロダクツの最低位・最高位はゴムパッドを含まない値です。最大能力は持ち上げられる重さで、車両重量のことではありません。
アストロプロダクツ 2.0TON ポータブルフロアジャッキ
工具の専門店・アストロプロダクツの、軽自動車専用の小型フロアジャッキです。本体は8.7kgと、10商品のフロアジャッキの中でいちばん軽く、取っ手付きで持ち運びやすいのが特長です。価格も、公式に価格がある商品の中でいちばん手頃です。
受皿には車を傷つけにくい脱着式のゴムパッドが付き、パッドの溝でサイドのジャッキアップポイントにも使えるとしています。ただし取扱説明書は、受皿が小型なので、軽自動車より大きい車には使わないよう注意しています。
ストレート フロアージャッキ 低床ミニタイプ 2t
工具の通販・ストレート(STRAIGHT)が公式通販で販売している、小型の油圧式フロアージャッキです。公式は「純正ローダウン車等、最低地上高の低い車種のジャッキアップに最適」と説明していて、最低位は85mm(付属のジャッキパッドを付けるとそれぞれ+30mm)、本体は12kgです。
低床タイプとしては手頃な価格ですが、スローダウン機構の有無やハンドルの長さ、使用上の注意は公式サイトに書かれていません。
BAL 2102 ローダウン車対応 油圧ジャッキ 2トン
カー用品メーカー・大橋産業(BAL)の、ローダウン車対応のフロアジャッキです。最低位は85mmで、軽自動車から普通乗用車のタイヤ交換やメンテナンスに使えるとしています。
収納ケースが付いているので、使わない時期もほこりをかぶらずにしまっておけます。スローダウン機構とキャリングハンドルが付き、別売のジャッキアップ用アダプターを付けると、パンタグラフジャッキ用のジャッキポイントでサイドから上げることもできます。保証期間は1年です。
メルテック FD-1 2.5t油圧ジャッキ
カー用品メーカー・大自工業のブランド「メルテック」の、最大耐荷重2.5tのフロアジャッキです。公式は「ハンドルが長いので少ない力でジャッキアップできる」と説明していて、ハンドルは約740mmと、同じくらいの大きさのBAL 2102(500mm)より長めです。
最低位は約85mmと低く、ジャッキダウンのときに安全にゆっくり下がるスローダウン機能も付いています。本体は約11.4kgです。
エマーソン EM-512 ボトルジャッキ 2t(ケース入)
カー用品メーカー・ニューレイトンのブランド「エマーソン」の、ボトル型の油圧ジャッキです。本体は2.4kgで、10商品の中でいちばん軽く、ケースに入れてコンパクトにしまえます。「SG規格適合製品」と取扱説明書に書かれています。
最低位は181〜229mm(上の支持台のアジャスターで調整)で、フロアジャッキより高いので、車の下にそれだけのすき間が必要です。ジャッキダウンはリリースバルブを1/4回転ゆっくり回し、手で縮めない(指を挟むおそれ)よう案内しています。
アストロプロダクツ 2.0TON アルミガレージジャッキ GJ139
アストロプロダクツの、アルミニウム製の軽量ガレージジャッキです。最高位465mmまで上がる大きさで、重さはハンドルを含めて19kg。持ち手が付いていて、公式は出張作業やサーキットにも重宝するとしています。
ポンプピストンが2つあり、少ないストロークでアームを上げられます。最高位までのストローク数は約5.5回(無負荷)です。受皿には滑りにくく傷つけにくいゴムパッドが標準で付いています。
メルテック MP-30T 3tハイブリッド油圧ガレージジャッキ
大自工業の上位ブランド「メルテックプラス」の、最大耐荷重3tのガレージジャッキです。10商品の中でいちばん大きな能力で、公式はアルミとスチールを組み合わせた、軽量で強固なハイブリッドボディーと説明しています。
すばやく上げられるスピードリフトと、ゆっくり下げられるスローダウン機能が付いています。最低位は約100mm、最高位は約465mm、重さは約26kgです。
エマーソン EM-511C ローダウンジャッキ 2t
エマーソンの、公式が「ローダウン車に最適」とするフロアジャッキです。最低位80mmは10商品の中でいちばん低く、車高を落とした車にも差し込みやすいのが特長です。フレームの連結プレートでねじり剛性を高めたとしていて、取扱説明書には「SG規格適合製品」と書かれています。
標準装備の支持台はサイド掛けには使えませんが、別売のサイド掛けアダプターに交換できます。取扱説明書は、バンパーの形状によっては干渉するおそれがあるとして、必ず車高を確かめるよう案内しています。
ストレート ガレージジャッキ 低床タイプ 2.0t
ストレートが公式通販で販売している、能力2.0tの低床ガレージジャッキです。公式は、アーム全体が低い構造のため、奥まったジャッキポイントにもアクセスしやすいと説明しています。最低位85mmの低床ながら最高位は430mmまで上がり、軽自動車から普通自動車まで幅広く使えるとしています。
ハンドルには樹脂製のプロテクターが付いています。重さは22kgあるので、保管場所から作業場所まで転がして運べるガレージ向きです。
BAL 2104 油圧式 ハイリフトジャッキ 2.8t
大橋産業(BAL)の、ミニバン・SUV向けのハイリフトジャッキです。最高位は530mmで、10商品の中でいちばん高くまで上がります。最大荷重は2.8tで、スローダウン機構も付いています。
最低位は150mmと高めなので、車高の低い車には入らないことがあります。BALは、車高が低くジャッキが入らないときは、別売のタイヤスロープで車を約70mm持ち上げる方法を案内しています。日本で企画・開発し、中国で製造している製品です。
迷ったらどれを選ぶ?

- 軽自動車のタイヤ交換を手頃に始めたいなら
軽自動車専用の「アストロプロダクツ 2.0TON ポータブルフロアジャッキ」 - 手頃な低床ジャッキがほしいなら
「ストレート フロアージャッキ 低床ミニタイプ 2t」 - ローダウン車でケースにしまいたいなら
収納ケース付きの「BAL 2102」 - 少ない力で上げたいなら
ハンドル約740mmの「メルテック FD-1」 - 小さく軽いものを車に積みたいなら
2.4kgのボトルジャッキ「エマーソン EM-512」 - 軽いアルミ製で速く上げたいなら
「アストロプロダクツ GJ139」 - 3tの能力がほしいなら
「メルテック MP-30T」 - 最低位の低さを重視したいなら
最低位80mmの「エマーソン EM-511C」 - 低床で高くまで上げたいなら
85〜430mmの「ストレート ガレージジャッキ 低床タイプ 2.0t」 - SUV・ミニバンに使いたいなら
最高位530mmの「BAL 2104」
選び方のポイント
まず、自分の車の「車両重量」「車の下のすき間」「タイヤが浮くまでに必要な高さ」の3つを確かめ、最大能力・最低位・最高位がそれに合うものを選んでください。そして、ジャッキと同時にジャッキスタンド(2脚)と輪止めもそろえましょう。油圧ジャッキだけでは、安全にタイヤ交換はできません。
整備士が教える油圧ジャッキの正しい使い方
油圧ジャッキの使い方は、各メーカーの取扱説明書と、トヨタ・ホンダの取扱書、JAFの案内に共通する流れでまとめます。細かな手順は車とジャッキによって違うので、必ず両方の取扱説明書も確認してください。
いちばん大切なのは、ジャッキだけで支えている車の下に、体の一部でも入れないことです。BALの取扱説明書は、ジャッキだけで支えた状態での作業は車両のバランスが非常に悪く落下する危険性があるとし、トヨタの取扱書も、ジャッキで支えられている車の下に体を入れないよう警告しています。

- 平らで固い場所に止め、エンジンを止める 地面が固く平らな場所に車を止め、パーキングブレーキをかけ、シフトをP(マニュアル車はローかR)にしてエンジンを止めます(トヨタ・ホンダの取扱書、各社の取扱説明書)。人や荷物は降ろします。アストロプロダクツは、アスファルトや柔らかい地面ではジャッキが倒れたり沈み込んだりするおそれがあるとして、コンクリートのような固く平らな床面で使うよう案内しています。JAFは、コンクリートの駐車場でも、雨水がたまらないよう緩やかな傾斜がついていることが多いと注意しています。
- 持ち上げるタイヤと対角のタイヤに輪止めをする JAFは、輪止めがタイヤの本数分ないときは、ジャッキアップする箇所の対角線上に置くと安定する(右前輪なら左後輪)と案内しています。エマーソンは、対角のタイヤの前後に2個かけるよう示しています。タイヤはまっすぐ前に向け、ジャッキも車に対してまっすぐ入れます(BAL・メルテック・エマーソン)。
- ジャッキポイントを、車の取扱説明書で確かめる ジャッキをかける場所は車ごとに決まっています。トヨタのシエンタの取扱書は、ガレージジャッキを使うときのジャッキポイントの位置を、前側・後ろ側、FF車・4WD車に分けて図で示しています。指定以外の場所にかけると、車体が変形したり、車が落ちたりするおそれがあります。わからないときは販売店に確認しましょう。
- タイヤが地面に着いたまま、ナットを少し緩める JAFとBALは、車を持ち上げる前にホイールナットを少し緩めておく手順を示しています(BALは1/2回転ほど)。浮いたタイヤでは、ナットと一緒にタイヤが回ってしまうためです。
- 受け皿の中心を合わせて、ゆっくり上げる リリースバルブを右(時計回り)に確実に締め、ジャッキポイントの近くまで上げたら一度止めて、受け皿の中央に当たっているかを確かめます。フロアジャッキは上がるにつれて前に進むので、本体が動いているかを見ながら上げます。動かないときや、車の傾きが大きくなってきたときは、すぐに作業を止めます(BAL・メルテック)。上げるのは、タイヤが浮いてジャッキスタンドを入れられる高さまで。必要以上に上げないでください。
- ジャッキスタンドで支えてから作業する 車の取扱説明書で確かめた支持できる場所にジャッキスタンドを置き、リリースバルブをゆっくり緩めて、車をスタンドに載せます。BALとアストロプロダクツは、外したタイヤを車の下に置いておくよう案内しています。万が一車が下がったときに、車体を受け止めるためです。
ジャッキスタンドの置き方と、選び方

ジャッキスタンドは、車の重さに合った耐荷重のものを、2脚1組で使います。アストロプロダクツは、1脚で使わず、必ず前2脚・後ろ2脚、または前後4脚で使うよう案内しています。高さは、ジャッキの最高位とあわせて選びます。たとえばBALのジャッキスタンド「キーパーマン」は、2トン用がサドルの高さ265〜380mm、ローダウン車対応の2トン用が160〜240mmで、どちらも2脚入りです。
スタンドを置いたら、高さを決めるピンやロックが確実に掛かっているかを確かめてから、車を載せます。車を載せたら、車が安定していることを確認してください(アストロプロダクツ)。
作業が終わったら、ゆっくり下ろす
タイヤを付けてナットを仮締めしたら、もう一度ジャッキで少し上げてスタンドを外し、車の下に置いたタイヤも取り出します。車を下ろす前には、車の下や周りに人や物がないことを確かめ、人がいるときは声をかけてから下ろします(トヨタの取扱書)。
下ろすときは、リリースバルブをハンドルでゆっくり左(反時計回り)に回します。急に緩めると車が急に下がり危険です。BALは締めた状態から1回転以上、エマーソンは3回転以上回さないよう注意しています(オイル漏れや故障の原因)。スローダウン機構があっても、車体の下がり具合を見ながら操作しましょう。
車を下ろしたら、ホイールナットを規定のトルクで本締めします。締め方は「自動車屋の現役整備士が選ぶ!おすすめのトルクレンチ10選」で、対角線の順に締める手順とあわせて解説しています。
使ったあとの保管と点検
使い終わったら、アームやピストンをいちばん下まで下げ、リリースバルブを締めて保管します(エマーソン)。フロアジャッキは車輪を下にして置き、ボトルジャッキは縦置きにします。横に寝かせるとオイル漏れや故障の原因になります(エマーソン)。雨や雪の当たる場所、湿気の多い場所は避けましょう。
使う前には、何も載せない状態で上げ下げして、オイル漏れや変形、異音がないかを確かめます(BAL・エマーソン・メルテック)。JAFも、オイル漏れを起こしている油圧ジャッキはジャッキアップ中に下がってしまう危険があるとして、使用を中止するよう案内しています。
冬タイヤへの履き替えを考えている方は、「スタッドレスとチェーンはどっちを用意する?整備士が選び方を解説」もあわせてご覧ください。
油圧ジャッキに関するよくある質問
- ジャッキで上げたまま、タイヤ交換をしてもいいですか?
-
ジャッキだけで支えたままの作業はやめてください。BALは、ジャッキは車を上げ下げするためのもので、ジャッキアップした状態での作業は危険を伴うため、必ずジャッキスタンドを使うよう案内しています。エマーソンも、ジャッキだけで車を支えた状態での作業は非常に危険だとしています。
ジャッキスタンドで支えたあとも、外したタイヤを車の下に置き、車の下に体を入れないようにしましょう。 - 自分の車には、何トンのジャッキが必要ですか?
-
エマーソンは、車検証に書かれている車両重量を確認し、それに対して十分な耐荷重のジャッキを選ぶよう案内しています。あわせて、車載のジャッキなどでタイヤが浮くまで上げて、必要な高さも測っておくと選びやすくなります。
なお、ジャッキの「2t」などの数字は持ち上げられる重さで、車両重量のことではありません。判断が難しいときは、車のメーカーや販売店に相談してください。 - 車高が低くて、ジャッキが車の下に入りません。
-
最低位の低い「低床」「ローダウン対応」のジャッキを選びましょう。この記事では、エマーソン EM-511C(80mm)、BAL 2102・メルテック FD-1・ストレートの低床ミニタイプ 2t・ストレートの低床タイプ 2.0t(85mm)が低めです。
BALは、車高が低くジャッキが入らないときは、別売のタイヤスロープで車を約70mm持ち上げる方法を案内しています。 - 車載ジャッキ用のジャッキポイント(車の横)で使えますか?
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ジャッキによって違います。BALは、フロアジャッキを車載ジャッキ用のジャッキポイントで使う場合は、必ず別売のジャッキアップ用アダプターを使うよう案内しています。エマーソン EM-511Cも、標準装備の支持台はサイド掛けには使えないとして、サイドで使うときは別売のサイド掛けアダプターを使うよう案内しています。
どこにかけられるかは車によっても違うので、車の取扱説明書とジャッキの取扱説明書の両方を確認してください。 - アスファルトや砂利の上で使ってもいいですか?
-
柔らかい地面や凹凸のある地面、傾斜した場所では使えません。アストロプロダクツは、アスファルトでもジャッキが倒れたり沈み込んだりするおそれがあるとして、使わないよう案内しています。
BAL・メルテックは、地面が強固でないときは鋼板などの強固な板を敷くよう図で示しています。JAFは、自宅のコンクリートの駐車場でも緩やかな傾斜がついていることが多いと注意しています。 - ジャッキが上がらない、または上げたのに下がってきます。
-
BALとエマーソンは、まずリリースバルブが確実に締まっているかを確認するよう案内しています。それでも直らないときは、油の通り道に空気が入っている可能性があり、取扱説明書の手順でエアー抜きをします。
オイルが漏れてきたときは、すぐに使用をやめてメーカーに連絡してください(BAL)。JAFも、オイル漏れを起こしている油圧ジャッキは、ジャッキアップ中に下がってしまう危険があるとしています。 - ジャッキを2台使って、前後を同時に上げてもいいですか?
-
やめてください。BAL・メルテック・エマーソン・アストロプロダクツは、ジャッキが車から外れたり破損したりするおそれがあるとして、2台以上を同時に使わないよう注意しています。前後を上げるときは、片側ずつ上げてジャッキスタンドで支えます。
- ジャッキのオイルは交換が必要ですか?
-
メーカーによって案内が違います。エマーソンは、作動油は劣化するため3年ごとに交換するよう案内しています。BALは、保管状態や使用状況に応じた交換と、最上位まで上がらなくなったときの補充を案内しています。
補充するのは、メーカーが指定するジャッキ専用の作動油です。ブレーキオイルなどは使えません(エマーソン・アストロプロダクツ)。
まとめ|油圧ジャッキは「能力・最低位・最高位」で選び、スタンドとセットで使おう
油圧ジャッキ選びで大切なのは、車の重さに合った最大能力と、車の下に入る最低位・タイヤが浮く最高位です。そのうえで、重さや収納ケース、スローダウン機構など、使い方に合うものを選びましょう。
そして油圧ジャッキは、車を持ち上げるための道具です。持ち上げたらジャッキスタンドで支え、ジャッキだけで支えた車の下には決して入らないでください。自分での作業に不安があるときは、無理をせず販売店や整備工場に相談しましょう。
自分でスタッドレスタイヤに履き替えるなら、「スタッドレスタイヤの選び方と銘柄の比較|サイズ・製造年の見方を整備士が解説」もあわせて読んでください。
整備士のおすすめ|こんな人なら、この商品
軽自動車のタイヤ交換を手頃に始めたいなら
軽自動車のタイヤ交換を、手頃で軽いジャッキから始めたい人
ローダウン車でケースにしまいたいなら
ローダウン車に使えて、ケースにしまって保管したい人
小さく軽いものを車に積みたいなら
小さく軽いジャッキを、ケースに入れて車に積んでおきたい人
最低位の低さを重視したいなら
ローダウン車やエアロ装着車で、最低位の低さを重視する人
SUV・ミニバンに使いたいなら
SUVやミニバンで、ほかのジャッキではタイヤが浮くまで上がらない人
- 車両重量・車の下のすき間・必要な高さを確かめ、能力・最低位・最高位で選ぶ
- 平らで固い場所で、対角のタイヤに輪止めをし、ジャッキポイントにまっすぐかける
- 上げたらジャッキスタンドで支え、ジャッキだけで支えた車の下には入らない
※本記事の価格・商品情報は2026年10月時点のものです。最新の情報は各メーカーの公式サイトをご確認ください。
※この記事で紹介している商品の写真・価格・購入リンクは、2026年10月21日に確認しています(毎週自動で確認。楽天市場の価格は毎日更新)。
