スタッドレスとチェーンはどっちを用意する?整備士が選び方を解説

スタッドレスとチェーンはどっちを用意する?整備士が選び方を解説

初めての冬を迎える車、年に数回だけの雪の遠出——「スタッドレスタイヤとタイヤチェーン、どっちを用意すればいいの?」という相談を、店でもよく受けます。
先に結論を言うと、「どちらか」ではなく、雪道を走る頻度で主役を決めるのが正解です。そして峠やスキー場まで行くなら、スタッドレスを履いていてもチェーンの携行が必要になります。

この記事では、京都府亀岡市の中古車販売店・浅田自動車商会の整備士が、JAFの走行テストと公式情報にもとづいて、自分の使い方ならどちらを用意すべきかの判断軸を解説します。

スタッドレスタイヤとタイヤチェーン|メカピック

この記事の監修者

メカピック監修者の写真

浅田 武生浅田自動車商会 整備士

京都府亀岡市の中古車販売店・浅田自動車商会で整備歴30年の整備士。メカピックでは、紹介するカー用品の選定と記事の内容を、整備の現場の視点から確認しています。

保有資格:2級自動車整備士/自動車電気装置整備士/中古自動車査定士

この記事でわかること

  • スタッドレスとチェーン、どちらを用意するかの判断軸(頻度・地域・行き先・費用・保管)
  • JAFの登坂・制動テストで分かった性能の違い(数値つき)
  • 雪道をノーマルタイヤで走ると違反になり得ること
  • スタッドレスを履いていてもチェーンが要る場面(凍結した急坂・チェーン規制)
  • 費用・保管場所・速度制限など、買う前に知っておく制約
目次

結論|雪道を走る頻度で主役を決める

大前提として、JAFは「雪道をノーマルタイヤで走行することは極めて危険なので、スタッドレスタイヤやチェーンを必ず装着する」としています。何も用意しない、という選択肢はありません。
そのうえで、どちらを主役にするかは雪道を走る頻度で決まります。

スタッドレスとチェーンどちらを用意するかの早見表|メカピック
  • 冬の間なんども雪道を走る(降雪地に住んでいる・通勤路が凍る) → スタッドレスタイヤが主役。JAFも、4セットそろえると比較的高額になるが、走行距離などによっては2シーズン使えるので「何度も雪道を走るなら格安とも言えます」としています
  • 年に数回の雪の遠出・万一の降雪への備えだけ → タイヤチェーンの携行。JAFは、チェーンはスタッドレスタイヤに比べて比較的安価としています
  • 峠・スキー場など山へ行く → スタッドレス+チェーン携行。凍結した急坂はスタッドレスだけでは上れないことがあり(後述のJAFテスト)、チェーン規制にはスタッドレスだけでは対応できません

スタッドレスとチェーンの違いを整理する

2つは「競合」ではなく、得意な場面が違う道具です。まず性格の違いを表で押さえてください。

スクロールできます
スタッドレスタイヤタイヤチェーン
使い方シーズン中ずっと装着雪道の手前でその場で装着
乾燥路走行できる(夏は夏タイヤ推奨)基本は雪道・凍結路のみ(布製は乾燥路で外す)
速度通常の走行が可能時速50km以下が目安(各メーカー指定)
費用4本交換で比較的高額(2シーズン以上使えることも)比較的安価(公式ストアで約1.8万〜6.4万円)
手間シーズン前後の履き替えと保管寒い車外での装着作業
チェーン規制単独では通れない対応できる(スプレー式・一部布製を除く)

※速度・使用条件はメーカー・製品で異なります(2026年10月時点の各公式サイトより)。チェーンの価格はタイヤチェーン10選で紹介している10商品の公式オンラインストア価格(2026年10月時点)の幅です。

スタッドレスタイヤ|いつでも走れるが、4本交換と保管が必要

スタッドレスタイヤは、柔らかいゴムが凍結路面の凹凸に密着し、太く深い溝が雪をつかみ、サイプ(細かい切り込み)の角が氷を引っかくことでグリップします(ブリヂストン公式Q&A)。タイヤが滑る原因である氷の上の「水の膜」に対抗する作りで、一度履き替えればいつでも雪道を走れるのが最大の強みです。乾燥路も走行できます(夏場は夏タイヤより制動距離が延びる傾向があるため、夏は夏タイヤが推奨です)。

一方で、4本セットでの交換になるため費用はチェーンより高く、外した夏タイヤの保管場所の確保も必要です(JAF)。溝が新品の50%まで減ってプラットホーム(使用限度の目印)が露出したら冬タイヤとしては使えません。適正に保管すれば、新品から2〜3シーズンは同等の性能を保つことがタイヤ公正取引協議会の共催試験で確認されています(ブリヂストン公式Q&A)。新品は時速60km以下で200km以上の慣らし走行も必要です。
サイズの読み方・製造年の見方と主な銘柄の違いは「スタッドレスタイヤの選び方と銘柄の比較|サイズ・製造年の見方を整備士が解説」で解説しています。

タイヤチェーン|安く備えられるが、その場で装着・50km/h以下

タイヤチェーンは必要なときだけ駆動輪に装着する道具です。スタッドレスより安く備えられ、トランクに積んでおけるので、雪道が年に数回の人には合理的です。

ただし制約もあります。装着したままの高速走行はできず、必ず現地で装着します(JAF)。速度は非金属チェーンで時速50km以下(カーメイト)など、各メーカーが上限を定めています。布製カバー(オートソックなど)は雪道・凍結路のみで使い、乾燥路と駐車中は外す指定です。寒い車外で装着する練習も、出発前に一度しておきましょう。
金属・非金属・布の違いと商品ごとの比較は「自動車屋の現役整備士が選ぶ!おすすめのタイヤチェーン10選」で詳しく紹介しています。
雪下ろし用のスノーブラシの選び方とおすすめは「自動車屋の現役整備士が選ぶ!おすすめのスノーブラシ10選」で紹介しています。

性能の違い|JAFの登坂・制動テストの結果

「スタッドレスとチェーン、どちらが効くのか」は場面によって答えが変わります。JAFが北海道士別市で行った走行テスト(登坂・制動とも2017年2月実施。結果は一例です)の結果がそのまま判断材料になります。

登坂|圧雪の坂はスタッドレス、凍結の坂はチェーンが必要

前輪駆動のコンパクトカーで雪の坂道を上るテストでは、ノーマルタイヤは勾配12%の圧雪路でもスリップして上れませんでした。勾配20%の圧雪路を平坦路からの発進で上れたのはスタッドレスタイヤのみです。
注目したいのは凍結路(氷盤路)の結果で、勾配9%の氷盤路はスタッドレスでも上れず、スタッドレスにチェーンを装着すると上ることができました。JAF自身も「スタッドレスタイヤは登坂性能が高いものの、凍結路面などではその限りではない」とまとめています。スキー場や峠の凍結した上り坂には、スタッドレスでもチェーンの携行が要る、ということです。

制動距離|圧雪はスタッドレス、氷盤はチェーンが最短

時速40kmからの急ブレーキのテスト(3回平均)では、路面で順位が入れ替わります。

圧雪路と氷盤路の制動距離の比較の図解(JAFテスト)|メカピック
  • 圧雪路:スタッドレスが最短の17.3m。ノーマルタイヤは29.9mで、スタッドレスの約1.7倍(JAF)
  • 氷盤路(アイスバーン):チェーン装着が最短。金属ピンが氷に食い込むためで、ノーマルタイヤ(105.4m)はチェーンの約1.8倍。スタッドレスは78.5m(JAF)

つまり、ふだんの雪道(圧雪)を広くカバーするのがスタッドレス、凍結路という「いちばん滑る場面」に強いのがチェーン。両者は役割が重ならないからこそ、「頻度で主役を決めて、山へ行くなら併用」が答えになります。

あなたはどっち?4つの判断軸

判断軸1|住んでいる地域:雪が積もる地域ならスタッドレス一択

冬の間に路面が白くなる地域に住んでいるなら、迷わずスタッドレスです。チェーンは「雪のたびに着けて、乾いた道で外す」道具なので、日常の雪道には向きません。
また、積雪・凍結した道路をノーマルタイヤで走ることは、各都道府県の公安委員会規則(道路交通法施行細則など)で禁じられています。たとえば愛知県の細則は「積雪又は凍結のため滑るおそれのある道路において自動車(二輪のものを除く。)を運転するときは、タイヤ・チェーンを取り付ける等滑止めの措置を講ずること」と定めており、道路交通法第71条第6号に基づくこの義務に違反すると5万円以下の罰金の対象になります(道路交通法第120条)。国家公安委員会の「交通の方法に関する教則」も、雪道ではチェーンなどの滑り止め装置かスタッドレスタイヤなどの雪路用タイヤを装着するとしています。

判断軸2|頻度:年に数回の遠出だけならチェーン携行から

雪のない地域に住んでいて、雪道は年に数回の旅行・帰省だけ——という使い方なら、チェーンの携行が費用面で合理的です(JAFも、チェーンはスタッドレスに比べて比較的安価としています)。
選ぶときは、JAFが冬用タイヤ規制・チェーン規制への対応として挙げる整理が参考になります。金属チェーンとウレタン&ゴム(非金属)チェーンはまず問題なく通行でき、非金属はJASAA認定品から選ぶのがよい、布製カバーは緊急時の脱出用という位置づけで規制に対応できない可能性がある——という内容です。サイズによっては手に入りにくい場合もあるため、雪が降ってからではなく早めに用意してください(JAF)。

判断軸3|行き先:峠・スキー場なら「スタッドレス+チェーン」

山道・スキー場・凍結する峠まで走るなら、スタッドレスとチェーンの併用で備えます。先ほどのJAFテストのとおり、凍結した勾配9%の坂はスタッドレス単体では上れず、チェーンを足して初めて上れました。
JAFは雪道を走る前の準備として「タイヤチェーンとジャッキは必須です」とも案内しています。スタッドレスを履いているかどうかにかかわらず、山へ行くならチェーンをトランクに、です。
ジャッキの選び方とおすすめは「自動車屋の現役整備士が選ぶ!おすすめの油圧ジャッキ10選」で紹介しています。

雪の積もった峠道を走る乗用車|メカピック

判断軸4|費用と保管場所

費用は、チェーンが公式オンラインストアの価格で約1.8万〜6.4万円(税込)の幅(当サイトのタイヤチェーン10選で紹介している10商品・2026年10月時点)。スタッドレスは4本交換にホイール・工賃が加わるためサイズ・銘柄で大きく変わり、一般にチェーンより高くなりますが、JAFの言うとおり何度も雪道を走るなら2シーズン以上使えて「格安とも言える」投資です。
見落としがちなのが保管場所。スタッドレスにすると夏タイヤ4本の置き場所が要ります(直射日光と雨を避けて保管。ブリヂストン)。マンション住まいで置き場所がない人は、チェーン携行か、販売店のタイヤ保管サービスの利用も検討してください。

チェーン規制には、スタッドレスだけでは通れない

最後に、スタッドレス派の人も知っておくべき制度の話です。大雪特別警報や「大雪に対する緊急発表」が行われるような異例の降雪時に出るチェーン規制の区間は、スタッドレスタイヤを履いていてもチェーンを装着しないと通行できません(国土交通省)。チェーンは駆動輪に装着するのが基本で、スプレー式の滑り止めでは通行できません。
規制がいつ・どこで出るのか、対象の13区間と罰則は「チェーン規制はいつ・どこで?スタッドレスでは通れない13区間と罰則」で詳しく解説しています。

トランクにタイヤチェーンのケースを積み込む手元|メカピック

整備士からのお願い

チェーンは買って終わりではなく、出発前に一度、明るい場所で装着の練習をしてください。雪の夜、初めての装着を路肩でやるのがいちばん危険です。スタッドレス派の人も、シーズン前に溝(プラットホーム)とゴムの硬さの点検を。
空気圧の点検に使うタイヤ空気圧ゲージの選び方は「自動車屋の現役整備士が選ぶ!おすすめのタイヤ空気圧ゲージ10選」で紹介しています。

スタッドレスとチェーンに関するよくある質問

オールシーズンタイヤなら、どちらも要りませんか?

JAFのテストでは、オールシーズンタイヤの凍結路でのグリップ・制動はスタッドレスに劣ります(氷盤路の制動距離はスタッドレス78.5mに対して101.1m)。また、チェーン規制の区間はオールシーズンタイヤでもチェーンが必要です。雪道を本格的に走るなら、スタッドレスかチェーンの用意をおすすめします。

4WDならチェーンもスタッドレスも不要ですか?

不要にはなりません。国土交通省は、チェーン規制は4WDも対象(車両の重量が大きく、下り坂では制動距離が長くなるため)としています。発進に強い4WDでも「止まる・曲がる」はタイヤのグリップ次第なので、雪道ではスタッドレスやチェーンが必要です。

チェーンはどのタイヤに付ければいいですか?

駆動輪です(前輪駆動なら前輪、後輪駆動なら後輪。4WDは車の取扱説明書に従ってください)。JAFのテストでは、前輪駆動車のチェーンを誤って後輪に装着すると、勾配12%の坂を上れず、制動距離も駆動輪装着の28.0mに対して35.3mと約7m延びました。

金属チェーンと非金属チェーン、どちらがいいですか?

JAFのチェーン種類別テスト(圧雪路)では、勾配20%の急坂を上りきれたのは金属亀甲型のみ、時速30kmの旋回で安定したのは非金属のみと、得意な場面が分かれました。価格・収納性は金属、乗り心地と扱いやすさは非金属に分があります。商品ごとの違いは「タイヤチェーン10選」で比較しています。

スタッドレスタイヤは何年使えますか?

ブリヂストンによると、溝が新品の50%まで減ってプラットホームが露出したら冬用タイヤとしての使用限度です。適正に保管された新品は2〜3シーズン同等の性能を保つことが確認されていますが、ゴムは経年で硬くなるため、シーズン前に販売店で硬度や溝の点検を受けてください。

チェーンに寿命はありますか?

あります。カーメイトやソフト99は、樹脂(非金属)チェーンの使用限度を購入後5年としています。ゴム・ウレタンは使わなくても劣化が進み、保管状態による劣化は見た目では判断できないため、年数と切れ・ほつれを確認してください。フリマなどの中古品は購入年が分からないため注意が必要です。

スタッドレスのまま高速道路や乾いた道を走れますか?

走れます。スタッドレスは乾燥路も走行できるタイヤです。ただし乾燥路・濡れた路面では夏タイヤより制動距離が長くなる傾向があり、柔らかいゴムは夏場に減りが早いため、ブリヂストンは夏には夏タイヤへの履き替えを推奨しています。新品装着後は時速60km以下で200km以上の慣らし走行も必要です。

まとめ|頻度で主役を決めて、山へ行くなら併用する

スタッドレスとチェーンは、どちらが上という関係ではありません。なんども雪道を走るならスタッドレス、年に数回の備えならチェーン携行、峠・スキー場まで行くならスタッドレス+チェーン——雪道を走る頻度と行き先で決めてください。
そしてどちらを選んでも、ノーマルタイヤのまま雪道に出ないこと。JAFのテストが示すとおり、勾配12%の坂さえ上れず、止まる距離も1.7倍以上に延びます。
冬の車の準備全体は「冬の車の準備リスト|整備士が点検する順番と積んでおく備え」にまとめています。
チェーンを備えるなら、次の3つのように性格の違う商品から、自分の車のタイヤサイズに合うものを選んでください。

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※本記事の数値・テスト結果は2026年10月時点のJAF公式サイト(テストは2017〜2019年実施。結果は一例で、路面状況・車両・製品によって変わります)および各公式サイトにもとづいています。チェーンの速度制限・使用条件は商品の取扱説明書を、タイヤの適合はメーカーの適合検索をご確認ください。

※この記事で紹介している商品の写真・価格・購入リンクは、2026年10月21日に確認しています(毎週自動で確認。楽天市場の価格は毎日更新)。

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