
ブースターケーブルのつなぎ方と順番|バッテリー上がりの救援を整備士が解説

朝、出かけようとキーを回したのにエンジンがかからない——。JAFのロードサービスで、出動理由がいちばん多いトラブルがバッテリー上がりです(2025年度は全国で997,116件・出動理由全体の43.17%)。
気温が下がってバッテリーの働きが落ちる冬は、特に起こりやすくなります。
この記事では、京都府亀岡市の中古車販売店・浅田自動車商会の整備士が、救援車とブースターケーブルでエンジンをかける「ジャンピングスタート」のつなぎ方と外す順番を中心に、バッテリー上がりの見分け方と対処の選び方を、JAFと自動車メーカーの公式情報にもとづいて解説します。
つなぐ順番を間違えると火花やショートの原因になるので、作業の前に必ず読んでください。
先に結論|つなぐ順番と外す順番
つなぐ順番:①赤を上がった車の+端子 → ②赤を救援車の+端子 → ③黒を救援車の−端子 → ④黒を上がった車のエンジンの金属部分(JAF・トヨタ・日産の案内に共通。④の位置は車の取扱説明書で確認)
エンジンをかける:4本つないでから救援車のエンジンをかけ、回転を少し高めに保って上がった車を始動
外す順番:④→③→②→①(つないだときの逆)
救援車は12Vの車(ハイブリッド車・24Vのトラックは救援する側になれません)。救援車がいないときは、ジャンプスターターで1人でかけられます(つなぐ順番は「ジャンプスターターの使い方|つなぐ順番と外す順番を整備士が解説」)。

この記事の監修者

浅田 武生浅田自動車商会 整備士
京都府亀岡市の中古車販売店・浅田自動車商会で整備歴30年の整備士。メカピックでは、紹介するカー用品の選定と記事の内容を、整備の現場の視点から確認しています。
この記事でわかること
- ブースターケーブルのつなぐ順番と外す順番(JAF・メーカー取扱説明書にもとづく)
- 救援車の条件と、エンジンのかけ方(12Vの車・ハイブリッド車は不可)
- バッテリー上がりかどうかの見分け方と、対処の3つの選択肢
- ハイブリッド車・アイドリングストップ車・電気自動車の注意点
- エンジンがかかったあとの再発防止(充電・交換の目安)
それ、本当にバッテリー上がり?症状の見分け方
「エンジンがかからない=バッテリー上がり」とは限りません。まずは症状から原因を切り分けましょう。見分けるポイントは、セル(スターター)の回り方と室内灯・ヘッドランプの明るさです。

バッテリー上がりが疑われる2つの症状
トヨタの取扱説明書では、次の症状のときにバッテリー上がりの可能性があるとしています。
- セル(スターター)がゆっくり回る。室内灯・ヘッドランプが暗い、ホーンの音が小さい、または鳴らない
- セルが回らず、室内灯・ヘッドランプも点かず、ホーンも鳴らない
JAFも、セルの回転音が正常時の勢いのある音から重苦しい・弱々しい音に変わるのを、バッテリー劣化のサインとして挙げています。前の日まで元気がなかったセルが、寒い朝にとうとう回らなくなる——というのが典型的なバッテリー上がりです。
セルが勢いよく回るなら、別の原因
セルが勢いよく回るのにエンジンがかからないときは、燃料切れなどバッテリー以外の原因が考えられます。また、セルが回らなくても室内灯が明るく点くなら、電子キーの電池切れやヒューズ切れといった電気系統の異常のこともあります。
シフトがP(パーキング)に入っていない、ハンドルロックがかかっている、といった操作面の原因でもエンジンはかかりません。慌てる前に、シフトの位置とブレーキの踏み込みも確認してください。
走行中にバッテリーの形の警告灯がついたときは
走行中にメーターのバッテリーの形の警告灯(充電警告灯)が点灯したときは、バッテリー上がりではなく充電系統の異常です。トヨタの取扱説明書では、ただちに安全な場所に停車し、販売店へ連絡するよう案内しています。
そのまま走り続けると発電できずに止まるおそれがあるので、無理に走らないでください。
発炎筒の代わりに車に積めるLED非常信号灯の選び方とおすすめは「自動車屋の現役整備士が選ぶ!おすすめのLED非常信号灯10選」で紹介しています。

バッテリー上がりの対処は3つ
バッテリー上がりと分かったら、対処の選択肢は次の3つです。どれを選んでも、エンジンがかかったあとに点検が必要なのは同じです。
前もってどの道具を買っておくかは、「バッテリー上がりに備えるなら?ジャンプスターター・ブースターケーブル・ポータブル電源を整備士が比較」で比べています。
1. 救援車とブースターケーブルでつなぐ
ほかの車(救援車)のバッテリーから電気を分けてもらい、エンジンを始動する方法で、「ジャンピングスタート」と呼ばれます。ブースターケーブル(赤と黒の2本1組の専用コード)と、12Vバッテリーの救援車が必要です。
つなぐ順番と場所が決まっているので、後述の手順を必ず守ってください。
ブースターケーブルの選び方とおすすめは「自動車屋の現役整備士が選ぶ!おすすめのブースターケーブル10選」で紹介しています。

2. ジャンプスターターで自分で始動する
ジャンプスターターは、電気をためた携帯用のバッテリーです。救援車がいなくても、充電さえしておけば1人でエンジンをかけられます。夜の駐車場や、周りに頼れる人がいない場所でも対応できるのが利点です。
クランプを2か所つなぐだけで、つなぐ順番は赤(+)→黒(−)、外す順番は黒(−)→赤(+)です。始動を試す秒数や間隔は商品ごとに違うので、くわしい使い方は「ジャンプスターターの使い方|つなぐ順番と外す順番を整備士が解説」で解説しています。
選び方とおすすめの商品は「自動車屋の現役整備士が選ぶ!おすすめのジャンプスターター10選」で紹介しています。
整備士のおすすめジャンプスターター|こんな人なら、この商品
軽・コンパクトカーに小さく常備なら
軽自動車やコンパクトカーに、小さな1台を常備しておきたい人
安全機能を最優先したいなら
つなぎ間違いや使いすぎへの備えを最優先したい人、初めてジャンプスターターを使う人
普通車〜大排気量のガソリン車なら
普通車〜大排気量のガソリン車に乗っている人、1台で家族の車にも使いたい人
3. ロードサービスに救援を頼む
救援車もブースターケーブルもないときや、自動車の整備に不慣れなときは、無理をせずJAFなどのロードサービスを呼んでください。JAF自身も、不慣れな場合はロードサービスを呼ぶことを勧めています。
加入している自動車保険にロードサービスが付帯していることも多いので、保険証券やアプリを確認してみましょう。ハイブリッド車や輸入車など、つなぐ場所や手順が車ごとに指定されている車も、プロに任せたほうが安全です。
ブースターケーブルのつなぎ方と順番(ジャンピングスタート)
ここからが本題です。手順はJAFと、トヨタ・日産の取扱説明書に共通する流れでまとめます。大原則は「赤いケーブルは+端子だけ、黒いケーブルは−側だけにつなぐ」こと。
つなぐ位置が車種によって指定されていることがあるので、自分の車の取扱説明書の「バッテリーがあがったとき」の項目もあわせて確認してください。
つなぐ前に確認すること
- 救援車は12Vバッテリーの車。トラックは電圧が24Vと高いため救援車に使えません(JAF)
- ハイブリッド車は救援車にできません(JAF。詳しくは後述)
- ブースターケーブルの被膜の破損・断線・クリップのガタがないか確認。問題があれば使わない(JAF)
- 救援車を近くに止め、両方の車のエンジン(電源)を切る。ライト・エアコンなどの電装品も切る
- AT車はP(パーキング)、MT車はニュートラルに入れ、パーキングブレーキをかける(JAF)

つなぐ順番は「上がった車の+」から
4本とも、エンジンをかける前につなぎます。JAF・トヨタ・日産の案内に共通する順番は次のとおりです。
- 赤いケーブルを、上がった車のバッテリーの+端子につなぐ 端子の記号とカバーの色を確かめてから挟みます。
- 赤いケーブルのもう一方を、救援車のバッテリーの+端子につなぐ
- 黒いケーブルを、救援車のバッテリーの−端子につなぐ
- 黒いケーブルのもう一方を、上がった車のエンジンブロックなどの金属部につなぐ JAFは、上がった車側はバッテリーの−端子ではなく、エンジンの金属部分などにつなぐよう案内しています。トヨタ・日産の取扱説明書も、自車側は指定の金属部(未塗装の金属部)につなぐとしています。つなぐ位置は車の取扱説明書で確認してください。
作業中は、赤と黒のクリップどうし、またはクリップと車体の金属部を接触させないでください。火花が出て、ショートや引火の原因になります。バッテリーの近くで火気を使うのも厳禁です(トヨタ取扱説明書)。
救援車のエンジンをかけるのは、4本つないだあと
ケーブルが確実につながったことを確認してから、救援車のエンジンをかけ、回転を少し高めに保ちます。トヨタの取扱説明書では、この状態で約5分間、上がった車のバッテリーを充電するよう案内しています。
そのうえで、回転を保ったまま上がった車のエンジンを始動します。日産は、始動のときはヘッドランプやエアコンなどの電装品を切っておき、始動後もしばらくはエアコンやオーディオの使用を控えるよう案内しています。
外す順番は、つないだときの逆
エンジンが始動したら、ケーブルはつないだときと逆の順番で外します。つまり、④上がった車の金属部の黒 → ③救援車の−端子の黒 → ②救援車の+端子の赤 → ①上がった車の+端子の赤、の順です。
外すときも、クリップどうしや車体との接触に注意してください。
整備士からのお願い
覚え方は「赤は+だけ、黒は−側だけ。つなぐのは上がった車の+から、外すのはその逆」。少しでも手順に自信がないときや、端子が白い粉で腐食しているとき、バッテリーが膨らんでいるときは、触らずにロードサービスを呼んでください。
ハイブリッド車・アイドリングストップ車・電気自動車の注意
ハイブリッド車は「救援する側」になれない
JAFは、ハイブリッド車は車の構造上、他の車のバッテリー上がりを救援することはできないと案内しています。ハイブリッド車を救援車にしてブースターケーブルをつなぐのはやめてください。
一方、ハイブリッド車が「救援される側」になるのは可能です。補機バッテリー(12V)が上がったときのつなぎ方は車種ごとに決まっていて、エンジンルームの救援用端子を指定している車もあります。
必ず自分の車の取扱説明書の「バッテリーがあがったとき」の項目に従ってください。
アイドリングストップ車は専用バッテリー
アイドリングストップ車は始動の回数が多いぶんバッテリーへの負担が大きく、JAFは寿命の目安を一般的なガソリン車(2〜5年)より短い2〜3年としています。交換には専用バッテリーが指定されることが多いのも特徴です。
信号待ちでアイドリングストップしなくなったら、バッテリー劣化のサインです。上がってしまう前に点検・交換を検討してください。
電気自動車は取扱説明書の確認を
電気自動車も、補機用の12Vバッテリーが上がると起動できなくなります。日産はリーフ(ZE1)について、12Vバッテリーが上がった場合は救援車とブースターケーブルで始動できるとする一方、リーフ自体を救援車として使わないよう案内しています。
ジャンプスタートのときは充電ケーブルを外すなどの指定もあるため、車種ごとの取扱説明書を確認してください。
エンジンがかかったあとにすること(再発防止)
ジャンプスタートは、エンジンをかけるための応急処置です。JAFは、始動後は約30分走行して充電し、早めに点検を受けるよう案内しています。
バッテリーが寿命を迎えていたり損傷していたりすると、エンジンを止めたあとに再始動できないことがあり、発電機(オルタネーター)が不調の場合は走行中に止まるおそれもあるためです。
ライトの消し忘れや半ドアなど、はっきりした原因に心当たりがないバッテリー上がりは、バッテリーの劣化か車側の故障が疑われます。整備工場やカー用品店で点検してもらいましょう。
充電器でしっかり充電しておく
走行だけでは充電が追いつかない「ちょい乗り」中心の使い方や、週末しか乗らない車は、家庭用のバッテリー充電器で充電しておくと再発を防ぎやすくなります。
つないだまま維持充電できる機種なら、長期間乗らない車の上がり防止にも使えます。
選び方とおすすめの機種は「自動車屋の現役整備士が選ぶ!おすすめのバッテリー充電器10選」で紹介しています。
整備士のおすすめバッテリー充電器|こんな人なら、この商品
あまり乗らない車をつないだまま維持したいなら
乗る機会が少ない車を、つないだままいい状態に保ちたい人
バッテリー交換も自分でするなら
バッテリー交換も自分でする人、充電の進み具合を数字で確かめたい人
液入りバッテリーの普通車まで、つなぐだけで充電したいなら
軽自動車〜普通車の液入りバッテリーを、つなぐだけで充電したい人

交換の目安は「2〜5年」とセルの元気
JAFによると、バッテリー交換の目安は一般的なガソリン車で2〜5年、アイドリングストップ車で2〜3年、ハイブリッド車・電気自動車の補機バッテリーで2〜5年程度です。
セルの音が弱々しくなった、本体が膨らんでいる、端子のまわりに白い粉が付いている、前回の交換から2〜3年以上たっている——こうしたサインがあれば、上がる前の交換を検討してください。
一度上がったバッテリーは、ジャンプスタートで始動できても劣化そのものは改善しません。
バッテリー上がりに関するよくある質問
- ブースターケーブルのつなぐ順番と外す順番は?
-
JAF・トヨタ・日産の案内に共通する順番は、①赤を上がった車の+端子 → ②赤を救援車の+端子 → ③黒を救援車の−端子 → ④黒を上がった車のエンジンの金属部分です。
エンジンがかかったら、④→③→②→①のつないだときと逆の順番で外します。④の位置は車種ごとに指定があるので、車の取扱説明書で確認してください。 - ジャンプスターターのつなぐ順番も同じですか?
-
違います。ジャンプスターターは救援車がいらず、本体のクランプを2か所につなぐだけです。つなぐのは赤(+)→黒(−)、外すのは黒(−)→赤(+)の順です。
始動を試す秒数や間隔は商品ごとに決まっているので、「ジャンプスターターの使い方|つなぐ順番と外す順番を整備士が解説」で確認してください。 - ブースターケーブルをつなぐ順番を間違えるとどうなりますか?
-
順番や場所を間違えると、火花やショートが起こり、やけど・車両の故障・火災の原因になります。「赤は+端子だけ、黒は−側だけ」「つなぐのは上がった車の+から、外すのはその逆」を守ってください。
間違えてつないでしまったかもしれないときは、無理にエンジンをかけず、点検を受けてください。 - 救援してくれる車が見つからないときは?
-
ジャンプスターターがあれば1人で始動できます。なければ、JAFや自動車保険に付帯するロードサービスに救援を頼んでください。ブースターケーブルも救援車もない状態で無理に対処する方法はありません。
- ハイブリッド車で、ほかの車のバッテリー上がりを助けられますか?
-
できません。JAFは、ハイブリッド車は車の構造上、他の車のバッテリー上がりを救援できないと案内しています。ハイブリッド車が救援される側になることは可能ですが、つなぎ方は車種ごとの取扱説明書に従ってください。
- トラックに救援してもらえますか?
-
JAFは、トラックは電圧が24Vと高いため救援車として使用できないとしています。救援車は、自分の車と同じ12Vバッテリーの車にしてください。
- エンジンがかかったら、どのくらい走れば充電されますか?
-
JAFは約30分の走行で充電するよう案内しています。ただし、走って充電できても一度上がったバッテリーの劣化は改善しないため、早めに点検を受けてください。短時間の走行しかしない車は、家庭用のバッテリー充電器での充電も検討しましょう。
- 時間を置けば自然に直りますか?
-
放置してもバッテリーは充電されません。ジャンピングスタートかジャンプスターターで始動して走行・充電するか、充電器で充電する必要があります。長期間の放置は、むしろバッテリー上がりの原因になります。
- 押しがけで始動できますか?
-
今の車では基本的にできません。トヨタ・日産の取扱説明書には、押しがけによる始動はできないと明記されている車種があります。自分の車の取扱説明書を確認し、無理に試さないでください。
- バッテリー上がりを防ぐにはどうすればいいですか?
-
JAFは、よくある原因としてライト類や室内灯の消し忘れ、半ドアによる室内灯の点灯を挙げ、破損・劣化がないか1か月に1回は点検するよう案内しています。
短距離走行の繰り返しや長期間の放置も原因になるため、乗る機会が少ない車は充電器での維持充電が有効です。
まとめ|ブースターケーブルは上がった車の+からつなぎ、逆の順で外す
バッテリー上がりの対処で大切なのは、赤は+だけ・黒は−側だけ、つなぐのは上がった車の+から、外すのはその逆という順番を守ることです。
救援車がいなければジャンプスターター、不安があればロードサービス——と、無理のない方法を選んでください。
そしてエンジンがかかったら、約30分の走行と点検を忘れずに。
セルの元気がない・アイドリングストップしなくなった、といったサインのうちに充電・交換しておけば、寒い朝に慌てずに済みます。
冬の前の点検の順番は「冬の車の準備リスト|整備士が点検する順番と積んでおく備え」にまとめています。
いざというときに自分で備えておくなら、次の3つから車と使い方に合うものを選んでください。
整備士のおすすめ|バッテリー上がりに備えるなら、この商品
充電を忘れがち・寒冷地で使うなら
定期的な充電を忘れがちな人、寒冷地で使う人
バッテリー上がりにも備えたいなら
空気入れとバッテリー上がりの備えを1台にまとめたい人
アイドリングストップ車・大きめのバッテリーを早く充電したいなら
アイドリングストップ車やミニバンなど、大きめのバッテリーを早く充電したい人
※本記事の手順・数値は2026年10月時点のJAF公式サイトおよび各メーカーの取扱説明書にもとづいています。つなぐ位置や手順は車種・商品によって異なるため、必ずお手元の取扱説明書をあわせてご確認ください。
※この記事で紹介している商品の写真・価格・購入リンクは、2026年10月21日に確認しています(毎週自動で確認。楽天市場の価格は毎日更新)。
