
ジャンプスターターの使い方|つなぐ順番と外す順番を整備士が解説

ジャンプスターター(バッテリースターター)を買ってはみたものの、「どっちのクランプから、どこにつなぐのか」「外すときはどちらが先か」「セルは何秒まで回していいのか」と、いざという場面で迷う人は少なくありません。
バッテリー上がりは、JAFのロードサービス出動理由でも第1位(2025年4月〜2026年3月で997,116件・全体の43.17%)と、もっとも身近な車のトラブルです(出典:JAF「よくあるロードサービス出動理由」)。
この記事では、京都府亀岡市の中古車販売店・浅田自動車商会の整備士が、各メーカーの取扱説明書にもとづいて、ジャンプスターターの正しい使い方と、つなぐ順番・外す順番を解説します。
つなぐ順番や「何秒以内」といった安全にかかわる数値は、メーカーの取扱説明書の記載どおりに書いています。細かい条件は商品ごとに違うので、必ずお使いの商品の取扱説明書もあわせて確認してください。
先に結論|つなぐ順番と外す順番
つなぐ順番:赤いクランプを+端子 → 黒いクランプを−端子(黒は、取扱説明書が指定する車体やエンジンの金属部分のこともあります)
エンジンをかける:始動の操作は2〜3秒以内(メルテックは2秒以内、セルスター・カシムラ・Astemoは3秒以内)。かからなければ、メーカーが指定する間隔を空けてから試す
外す順番:黒(−)→ 赤(+)(つないだときの逆)

この記事の監修者

浅田 武生浅田自動車商会 整備士
京都府亀岡市の中古車販売店・浅田自動車商会で整備歴30年の整備士。メカピックでは、紹介するカー用品の選定と記事の内容を、整備の現場の視点から確認しています。
この記事でわかること
- 使う前に確認すること(対応する車・電圧・本体の残量)
- つなぐ順番(赤+→黒−)と外す順番(黒−→赤+)、始動を試す秒数
- やってはいけないこと(逆接続・長いクランキングなど)
- 保管と充電の注意、エンジンがかからないときに救援を頼む目安
使う前に確認すること
クランプを握る前に、まず次の3つを確認してください。ここを飛ばすと、つなぎ方が正しくてもエンジンがかからなかったり、機器や車を傷めたりします。
1. 自分の車がその商品の対応範囲に入っているか
メーカーは「ガソリン車は○Lまで、ディーゼル車は○Lまで」のように、対応できる車の目安を取扱説明書や公式サイトに示しています。
ディーゼル車は同じ排気量のガソリン車より始動に大きな電流が必要なため、対応範囲が狭くなるのが一般的です。車検証の「総排気量」と「燃料の種類」を、商品の対応範囲と照らし合わせてください。
2. 車の電圧(12Vか24Vか)に対応しているか
乗用車のほとんどは12Vですが、トラックなど24Vの車もあります。12V専用のジャンプスターターを24Vの車につないではいけません。24Vの車には、24Vに対応した商品が必要です。
また、ハイブリッド車や輸入車は救援のしかたが車ごとに指定されていることがあるので、先に車の取扱説明書の「バッテリーあがり」の項目を確認してください。
3. 本体の充電が残っているか
ジャンプスターターは「いざというときに充電が残っている」ことが前提の道具です。残量表示を確認し、残量が少なければ先に本体を充電します。
満充電で使える回数はメーカーの公表値でも商品ごとに大きく違い、カシムラ KD-283のように、満充電で車1台につき1回だけ始動を試すよう案内している商品もあります(取扱説明書参照)。
なお、電気をためずにその場で充電して使うキャパシタ式(BAL No.2711など)は、上がった車のバッテリーに残っている電気で本体を充電するしくみのため、作り置きの充電はいりません。

これから購入する人や買い替えを考えている人は、商品ごとの対応範囲と安全機能を「自動車屋の現役整備士が選ぶ!おすすめのジャンプスターター10選」で比較しています。
整備士のおすすめジャンプスターター|こんな人なら、この商品
軽・コンパクトカーに小さく常備なら
軽自動車やコンパクトカーに、小さな1台を常備しておきたい人
安全機能を最優先したいなら
つなぎ間違いや使いすぎへの備えを最優先したい人、初めてジャンプスターターを使う人
普通車〜大排気量のガソリン車なら
普通車〜大排気量のガソリン車に乗っている人、1台で家族の車にも使いたい人
充電を忘れがち・寒冷地で使うなら
定期的な充電を忘れがちな人、寒冷地で使う人
ジャンプスターターの使い方|つなぐ順番と外す順番
基本は「赤いクランプを+端子へ、次に黒いクランプを−端子へ」の順番でつなぎ、始動したら「黒→赤」の逆の順番で外します。
ここでは、メルテック・セルスター・カシムラ・Astemo・NOCO・BALの取扱説明書に共通する流れをまとめます。商品固有の手順は、必ず取扱説明書で確認してください。

つなぐ順番(付け方)は赤(+)→黒(−)
- エンジンと電装品をすべて切る エンジンスイッチをOFFにし、ライト・エアコン・オーディオなども切ります。シフトはP(またはN)に入れ、パーキングブレーキがかかっていることを確認します。
- 赤いクランプをバッテリーの+端子につなぐ +と−を間違えないよう、端子の「+」の記号やカバーの色を確かめてからつなぎます。
- 黒いクランプを−端子につなぐ メーカーによっては、−端子のかわりに車体の金属部分(シャーシ)やエンジンブロックの金属部分につなぐよう案内しています(NOCOはマイナス端子かシャーシ、BALはマイナス端子かエンジンブロック。BALは、つなぐ面が錆びていると始動に失敗することがあるため、錆を落としてからつなぐよう案内)。燃料の配管や薄い板金にはつなぎません。
- ランプなどの表示で、正しくつながったか確認する 多くの商品は、正しくつながるとランプが点灯し、逆につなぐとランプやブザーで知らせて電気を流しません。表示を確認してから次に進みます。
エンジンをかける|始動の操作は2〜3秒以内
- エンジンを始動する。長く回し続けない 始動の操作は短く行います(メルテックは2秒以内、セルスター・カシムラ・Astemoは3秒以内)。かからないときは、メーカーが指定する間隔を空けてから再び試します(メルテックは1分以上、セルスターは3分以上。Astemoは続けてジャンプスタートするときは10分以上空ける。NOCOは15分以内に5回以上続けて操作しない)。カシムラは、満充電で車1台につき1回だけ試し、かからなければ中止するよう案内しています。
外す順番は黒(−)→赤(+)
- 始動したら、黒(−)→赤(+)の順で外す つなぐときと逆の順番です。外したクランプ同士を触れさせないようにし、クランプをつないだまま走り出さないでください。
なお、カシムラ KD-283の取扱説明書は、ジャンプスタートの作業を2名以上で行うよう案内しています。1人が車の操作、1人が機器の確認と、役割を分けられる体制が前提の商品もあると覚えておいてください。
クランプのランプ表示の見方
最近の商品は、クランプの根元やケーブルの途中にある保護回路の箱で、接続の状態を知らせてくれます。おおまかな見方は次のとおりです(色や点滅のパターンは商品ごとに違うため、必ず取扱説明書で確認してください)。
- 正しくつながった 緑などのランプが点灯し、始動できる状態になります(メルテックSG-60は正しくつなぐとクランプ側のランプが点灯)。
- 逆につないだ・ショートしている 赤いランプやブザーで知らせ、電気を流しません(メルテックは逆接続をブザーで知らせて出力を止める。セルスターはスマートクランプのインジケーターとブザー、カシムラは保護回路ボックスのランプとブザー、Astemoは異常があれば出力前にランプとブザーで知らせます)。
- 表示が変わらない・エラーが消えない 無理に始動せず、いったんクランプを外して、取扱説明書のエラー表の指示に従います。

キャパシタ式は、流れが少し違う
電池のかわりにキャパシタ(コンデンサ)に電気をためるBAL No.2711は、クランプをつなぐと、まず車のバッテリーに残っている電気で本体の充電が始まります(12Vの鉛バッテリーから最大225秒)。
ランプが緑の点灯に変わったらブーストボタンを押して、エンジンを始動します。
バッテリーの電圧が6.5V以下まで下がっていると本体を充電できないので、その場合はほかの車のバッテリーやUSBなどから先に本体を充電します。
再始動を試すのは3回が目安とされています(いずれもBALの取扱説明書の記載。詳細は取扱説明書参照)。
やってはいけないこと
どのメーカーの取扱説明書にも、事故や故障につながる「禁止事項」が書かれています。共通して言えるのは次の5つです。

- +と−を逆につながない 逆接続は、機器や車の電装品を傷める代表的な事故です。多くの商品に逆接続保護がありますが、保護機能を当てにせず、つなぐ前に端子の記号を確かめてください。
- 赤と黒のクランプ同士を接触させない 本体につないだ状態でクランプ同士が触れると、ショートの原因になります。
- セルモーターを長く回し続けない 始動の操作の上限は、メルテックが2秒以内、セルスター・カシムラ・Astemoが3秒以内です(各社取扱説明書の記載)。かからないときに続けて回すと、機器にもセルモーターにも負担がかかります。再び試すまでの間隔(メルテック1分以上・セルスター3分以上など)も取扱説明書の値を守ってください。
- 対応していない車につながない 12V専用の商品を24Vの車に使わない。対応範囲(排気量・燃料)を超えた車にも使わないでください。
- クランプをつないだまま走り出さない・放置しない 始動したら、黒→赤の順ですみやかに外します。つないだままにしておく道具ではありません。
保管と充電の注意(高温と残量管理)
ジャンプスターターのトラブルで意外に多いのが、「いざ使おうとしたら充電が空だった」「夏の車内に置きっぱなしで傷んでいた」というものです。ふだんの扱いで気をつけることは2つです。
定期的に充電する
リチウムイオン電池のジャンプスターターは、使わなくても少しずつ放電します。充電の間隔はメーカーが取扱説明書で示しており、メルテック・カシムラは1〜3か月ごと、セルスターはLJP-9600が2〜3か月ごと・MJP-3000が1〜2か月ごと、Astemo・ベロフは3か月ごとの充電を案内しています。
長く使わないときは満充電にせず、残量を半分〜7、8割程度に保つよう案内しているメーカーもあります。お使いの商品の間隔と残量の目安は、取扱説明書で確認してください。使ったあとは、次に備えて早めに充電しておきましょう。
高温になる場所に置かない
リチウムイオン電池は高温に弱く、夏の車内やトランクへの置きっぱなしは避けるのが基本です。セルスターは車内での使用・保管・放置をしないよう、Astemoは車室内に保管しないよう、メルテックは夏の密閉した車内に、カシムラは炎天下の車内などに保管しないよう、それぞれ取扱説明書などで案内しています。
特に夏場は、家の中で保管して出かけるときに持ち出すのが安全です。使える温度の範囲も商品ごとに決まっているので(取扱説明書参照)、寒冷地で使う人は低温側の範囲も確認しておいてください。

エンジンがかからないとき、救援に切り替える目安
ジャンプスターターで何度試してもかからないときは、バッテリー以外の故障(セルモーター・オルタネーター・燃料系など)の可能性があります。無理に続けず、メーカーが示す回数で見切りをつけてください。

- メルテック 2〜3回試して始動しなければ中止
- Astemo 同じ車で2回失敗したら中止
- カシムラ 満充電で車1台につき1回。かからなければ中止
- BAL(キャパシタ式) 再始動は3回が目安
中止したら、JAFや自動車保険に付帯するロードサービス、または近くの整備工場に連絡してください。ランプの表示にエラーが出続ける場合や、焦げたにおい・煙など異常を感じた場合は、回数にかかわらずすぐに作業をやめてください。
エンジンがかかっても、バッテリーの点検を
ジャンプスターターは、あくまでエンジンをかけるための応急処置です。JAFも、始動に成功してもバッテリーの劣化は改善しないとして、早めの点検を勧めています(出典:JAF「自動車のバッテリー上がりと応急処置」)。
ライトの消し忘れなどはっきりした原因がない場合は、バッテリー自体が寿命を迎えているか、充電系に不調があるかもしれません。早めに整備工場やカー用品店で点検を受けてください。
ジャンプスターターの使い方に関するよくある質問
- ジャンプスターターのつなぐ順番と外す順番は?
-
つなぐときは、赤いクランプを+端子 → 黒いクランプを−端子の順です(黒は、取扱説明書が指定する車体やエンジンの金属部分のこともあります)。
エンジンがかかったら、黒(−)→赤(+)の逆の順番で外します。外したクランプ同士は触れさせないでください。 - ブースターケーブルとつなぐ順番は同じですか?
-
違います。ジャンプスターターは本体のクランプを2か所につなぐだけですが、ブースターケーブルは救援車とのあいだで4か所をつなぎ、JAFは「上がった車の+ → 救援車の+ → 救援車の− → 上がった車のエンジンの金属部分」の順を案内しています。
救援車を使う方法は「ブースターケーブルのつなぎ方と順番|バッテリー上がりの救援を整備士が解説」で解説しています。 - つなぐ順番を間違えたら、どうなりますか?
-
+と−を逆につなぐと、本来は大きな電流が逆向きに流れ、機器や車の電装品を傷めるおそれがあります。最近の商品の多くは逆接続保護があり、ランプやブザーで知らせて電気を流しません。
警告が出たらすぐにクランプを外し、端子の記号を確かめてつなぎ直してください。 - セルモーターは何秒まで回していいですか?
-
商品ごとに上限が決まっています。この記事で確認したメーカーでは、メルテックが2秒以内、セルスター・カシムラ・Astemoが3秒以内です。
かからないときに再び試すまでの間隔(メルテック1分以上・セルスター3分以上など)も決まっているので、お使いの商品の取扱説明書の値を守ってください。 - 黒いクランプは、−端子と車体の金属部分のどちらにつなぐのですか?
-
商品の取扱説明書の指定に従ってください。−端子につなぐ商品が多い一方、NOCOはマイナス端子かシャーシ、BALはマイナス端子かエンジンブロックの金属部分と案内しています。いずれの場合も、燃料の配管や薄い板金にはつながないでください。
- ハイブリッド車にも使えますか?
-
車によって救援のしかたが決まっています。ハイブリッド車や輸入車は、つなぐ場所や手順が車ごとに指定されていることがあるので、まず車の取扱説明書の「バッテリーあがり」の項目を確認してください。
なお、JAFはハイブリッド車が構造上、他の車の救援(電気を分ける側)はできないとしています。 - 雨の日でも使えますか?
-
濡れた状態での使用を禁止しているメーカーが多く、防水の等級がある商品でも端子部分の扱いには注意が必要です。お使いの商品が雨天で使えるかは、取扱説明書参照としか言えません。可能であれば、雨がかからない場所に移してから作業してください。
- 使ったあとは、すぐに充電したほうがいいですか?
-
はい。ジャンプスタートは一度で多くの電気を使うので、使ったら早めに充電しておきましょう。ふだんもメーカーが示す間隔(1〜3か月ごとなど)で充電し、夏の車内に置きっぱなしにしないことが、いざというときに使える状態を保つコツです。
まとめ|つなぐのは赤→黒、外すのは黒→赤。始動は短く
ジャンプスターターの使い方は、「赤+→黒−の順でつなぎ、ランプを確認してから短く始動し、黒→赤の順で外す」が基本です。
始動を試す秒数と間隔、中止する回数は商品ごとに取扱説明書で決まっているので、一度目を通しておけば、バッテリー上がりの朝も慌てずに済みます。
エンジンがかかったら、バッテリーの点検も忘れずに。
冬の前の点検の順番は「冬の車の準備リスト|整備士が点検する順番と積んでおく備え」にまとめています。
これから用意する人は、「自動車屋の現役整備士が選ぶ!おすすめのジャンプスターター10選」で、対応する車と安全機能から自分に合う1台を選んでください。
これから買う人で、ブースターケーブルやポータブル電源と迷っているなら「バッテリー上がりに備えるなら?ジャンプスターター・ブースターケーブル・ポータブル電源を整備士が比較」を読んでください。
整備士のおすすめ|こんな車・こんな使い方なら、この商品
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※本記事の手順・数値は、2026年10月時点の各メーカーの取扱説明書・公式サイトおよびJAFの公式情報にもとづいています。商品ごとに手順や条件が異なるため、必ずお使いの商品の取扱説明書をご確認ください。
※この記事で紹介している商品の写真・価格・購入リンクは、2026年10月21日に確認しています(毎週自動で確認。楽天市場の価格は毎日更新)。
